ふは、ふは、ふははは。
ついにA子に仕返しするチャーーンス到来。
推定20枚ほどのピザを詰め込んでるA子の腹は、
いわば爆弾を抱えた哀れな子羊。
そこへ炭酸飲料が投入されたらどうなるだろうか?
いや、分からないけど、もうブバーンってなもんだろうよ。
そう、食べ放題中に冷たい飲料を胃に流し込むのはご法度なのだ。
胃がキューッと縮こまって、強烈に苦しくなる。
で、そんなトラップだとも知らずに、
A子がペプシを飲んだ。
とてつもA子最終回、A子ピザで果てる。
さらばA子。
・・・・あ、あれ?
なんにも変わらん。
僕のサイフからペプシ代が消えただけであった。
そうしてA子は最後のピザを口に入れ、フィニッシュ。
「久しぶりに見たけど、変わらずスゴイねー」
と感心するM。
「よくそんなに入るね」と少しビビりながらW。
「ハハハ!」と僕。 笑うしかねぇ。
すると、A子がちょっとトーンを落として言う。
「私ね、なんか人と違うみたいなの」
知ってる。
まだ出会って間もないけど、よーく知ってる。
A子「なんかね、病気みたいなの」
「病気?」とWが驚く。
病気?と僕も脳内で驚く。
病的の間違いじゃなくて?
ピザ30枚食べてペブシ飲んで平然としてる病人などいるものか。
「なんか分からないんだけど、私って、胃が背中にあるみたいで、すっごい胃が膨らむらしいの。だから食べると背中が膨らむんだって」
水木しげるの妖怪大図鑑か。
胃が背中にあるのと、強烈な大食いであることの関係性が
チラっとも見えてこないが、まぁ本当だとしたら普通ではない。
「大丈夫なの?」と、さすがに僕も心配になって聞いてみる。
「体がどうのというのはないけど、あまり食べると消化できないまま出てたり」
汚いな!出てるて。
っつーかなんか深刻ぶってるけど、
要はただ大食いなだけじゃねーか。
チラッとでも心配して損した。
で、お会計。
どっすり座って微動だにしない女2人。
石化?
女ってズルい。
食べ放題で1人1000円。+ペプシ代。
「おい、もうホント帰るぞ」と会計しながらWに言う。
「マジかよ。まだ昼だぜ?オレまだMとあんまり話せてねーよ」とW。
「バカか。だからじゃねーか。キッカケは作ったんだから、
あとは2人きりでガンバレよな。俺もう帰るよ」
「オマエ・・」とW。
「じゃあオマエA子ちゃんと2人で帰るのか?」
それは困ります。
「いや、まぁでもアレもなんだし、4人で遊ぶか」と僕。
「アレもなんだし、てなんだよ」
「いやいやオマエをずっと見守る役目だからさ、今日は。ずっと。」
「さっきから何ふたりで話してんの?」とMが割り込む。
「ごちそうさまでした」と僕は言ってみた。
「あ、ごちそうさまでした」とM。
つられて「ごちそうさまでした」とA子。
ごちそうさまでした、くらい言わせたってバチは当たるまい。
そして再び4人で漠然と歩く。
え?普段どうやって遊んでるんだっけ?
と考え込んでしまうくらい何も思いつかない。
ついに駅まで来てしまう。
あ、このまま帰れんじゃね?
と思った瞬間、Wが叫ぶ。
「あ、駅の向こうに巨大迷路あんじゃん、みんなで迷路いかない?」
そう、全く意味不明な一時的な現象だったのだが、
何故かこの頃、巨大迷路というアトラクションがアチコチに建設されたのだ。
それは一時的なブームになり、アッという間に過ぎ去った。
あたりまえだ。
1度クリアした迷路を2度行こうとは思わないでしょ。
そんなバブル全盛期でもあったのだ。
「迷路!?」と僕は言った。
既に迷路で迷っているような現状で?
感覚的な迷路の中で、さらに現実的な迷路に迷う。
なんか不思議。
夢の中で夢をみてるような感じか。
箱の中身がまた箱だったりとか。