先日、中古CD屋で値崩れしたCDを買いあさっていると、
思わぬ掘り出し物を発見。
ちょっと見づらくてすみません。
マクロスプラスのサントラです。
パチンコで出たマクロスとは別のマクロス。
このCDにはちょっとした思い出あります。
このCDと出会うことになったのは、
僕が21歳のとき。
そのとき僕は、とある施設の管理のバイトをしていました。
勤務時間が融通きく上に、時給も高い。
けっこう倍率高いだろうな、と思いつつ
面接受けてみたら、受かってしまった。
この仕事、土日は数千人の人間が訪れるため戦場と化すけど、
平日はあまり仕事がない。
自転車並べたり、駐車場を巡回したり、
モニターチェックしたり。
それなのに社員が7人もいる。
部長なのによくテンパる小島氏。推定55歳。
カツラで何故か常時睡眠薬を携帯している謎の男、沢田氏。推定50歳。
穏やかで真面目だけど家のローンに苦しむ長谷川氏。推定47歳。
バツイチだけどメルヘンチック純情無垢な女性、笠原さん。推定35歳。
気の良いヤンキー、高梨さん。23歳。
気の悪いヤンキー、原島さん。27歳。
ツンデレーションがヒドイ女の子、石川さん。18歳。
初めて職場に行ったときの感想。
濃いっ!
戦場と化す土日には更に土日限定の応援要員が来る。
7人も。
そんでその応援要員7人がまた18~19のヤンチャ坊主。
お客さんに敬語使わない。
見た目が金髪やら長髪やら威圧的。
そしてその7人専用の休憩室行ったら、エロビデオの山。
お前らは7人の悪魔超人か。
もうやりたい放題。
そんな感じの愉快な仲間たちとの仕事が始まったのだが、
初仕事から大変な目に。
午後からラストまでのシフトだったので昼に行ったら、
いきなり部長がテンパってる。
「あ、あいつら、どこ行ったんだ!!」とワサワサしてる。
どうやら高梨、原島ヤンキーコンビがサボってて行方不明らしい。
そしていきなり僕に捜索命令がくだった。
ちょっ、他にもいっぱい人いるじゃん!
僕はまだこの施設じたいよく分からないし。
石川さんなんて奥でたまごっちやってるよ!真剣に。
そんなにずっと見てるゲームじゃねぇだろ。
てゆーか、職場で真剣にゲームをするな。
納得はいかないが、新参者が使いっ走りになるのは世の掟。
仕方なく探しに行くが、全然見つからない。
どこでサボってんのかと思えば、
高梨さんはゲーセンで鉄拳に夢中、
原島さんは自分の車の中で熟睡。
ひどい。
こんなメンツなのでエピソードはいろいろあるけど、
そうして月日は流れ、季節は夏をむかえた。
僕も働き始めてから既に3ヶ月経ち、
この愉快な仲間たちともそれなりに上手くやっていた。
ただ、謎の男、沢田氏が謎の失踪を遂げてしまうという事件があった。
部長が心配して沢田氏のアパートへ乗り込んだのだが、
何故か愛用してたカツラだけが部屋に残されていたという。
ダイイングメッセージのように。
このカツラに何かメッセージが込められているのではないか、
と部長が言い出し、社員全員と僕で推測したが、謎は深まるばかりであった。
ちなみに、各人の推測。
高梨氏の推測、ケガじゃないから(毛がないから)心配すんな。
原島氏の推測、神かくし(髪かくし)。
石川さんの推測、自分探しの旅。
みんなひどい。
でも笑ってしまった。
部長は高梨氏の推測が気に入ったようであった。
夏といえば、夏休み。
土日ほど混まないにしても、
普段の平日より忙しくなる。
夏休み限定で新たにバイトが2人はいった。
歳は19歳で同じ大学に通う友達同士らしく、
1人はポッチャリしてひょうきんなお調子者の金田くん。
もう1人はガリ痩せで人とのコミュニケーションが得意でない感じの寡黙な多田くん。
2人合体すればちょうど良い感じになるのだろうが、と思った。
同じ自転車通勤ということで、
この2人とはよく一緒に帰った。
金田くんとの話の流れで多田くんにも話をするが、
やはり反応は薄い。
僕もけっこう人見知りするので、そんなに気にしない。
だが、そんな多田くんを見て、金田くんが言う。
「そんなんだから、お前はダメなんだよ!」
金田くんなりに多田くんが心配なのだろうが、なんせ口が悪い。
「人それぞれ得意、不得意があるんだから、ダメとか言うなよ」
と僕は金田くんを諭す。
一見、多田くんをかばっているように見えるが、完全に自己弁護である。
その頃、とあるローカルテレビで夏休みスペシャルとして
放映されたガンダム映画3部作をキッカケに、
職場の若者中心にガンダムブームが巻き起こる。
僕もちょうどその前にエヴァを観たのをキッカケに
ガンダムを見直してハマっていたので、
その輪に難なく入っていった。
さらに7人の悪魔超人たちもそれに乗っかってきた。
彼らの休憩所にジオンの国旗が掲げられるまで、
そう時間はかからなかった。
休憩時間になると、みんなで集まってガンダムの話をし、
仕事終わったらカラオケ行ってガンダムの曲を熱唱するほどの加熱ぶり。
そこに僕がみんなにエヴァを薦めてしまい、
さらに変な熱が加わってしまった。
高梨さんに貸したビデオテープがたらい回しにされて、
しばらく帰ってこなかった。
そして7人の悪魔超人たちが、
一気に怪しい集団に変貌したのは言うまでもない。
そんな時にも多田くんは輪に入れ切れずにいた。
まるっきり興味がないハズはないと思うのだが。
ある時の休憩時間にやはり輪に入らない多田くんに僕は訊いてみた。
「多田くんのオススメって何かないの?」
その時は何も返事が返って来なかったのだが、
それから少し経った帰り道で、
いきなり多田くんから紙袋を手渡された。
中にはマクロスプラスと書かれたビデオテープと、
1枚のCDが入っていた。
そのCDが冒頭で紹介したCDです。
内容はともかく、音楽の素晴らしさに圧倒されました。
それまで菅野よう子という方を全く知らなかったけど、
今でもいろんな作品に携わっているとか。
いちおうテープにはダビングしたのだけど、
そのCDが欲しくて欲しくて、本当に探し回った。
インターネットなんて全く普及してなかったので、
新宿、池袋、渋谷などの大型CDショップはもちろんのこと、
秋葉原にまで足を運んだけど、結局は見つからず。
そんな思い出のCDでした。