今年3冊目の新刊です。
『クリスマスのかね』(教育画劇)
アメリカのレイモンド・M・オールデンという人の書いた
古い(130年くらい前?)童話を元にした絵本。
絵は山田花菜さん。
ちょっとクラシカルで、あったかくて。
貧しい村の兄弟が、クリスマスイブに、ふたりだけで
大きな町の教会に出かける…という話なんですけど、
しっかりしてけなげなお兄ちゃんと、無邪気そのものの弟、
この子たちの表情がとっても魅力的です。
原作は短篇ですが、そのまま日本語に移し変えただけでは、
絵本の文章としては長すぎます。
見開きの片ページが小さい字で埋まってしまうくらい。
小さい子にも読めるような文字で、表現で、
全体に短く書き直す必要がありました。
この書き直しのことを、リライト(再話)といいまして、
いわゆる「名作童話」では昔から広くおこなわれています。
わたしは、原則としてリライトはお引き受けしない主義
(理由は単純、自分の作品がそうされたら嬉しくないから…笑)
ですが、花菜さんの絵を目にしたら、
ぜひやりたい!と思ってしまいました。
全訳して、場面割りしたものを元に絵を描いていただきながら、
わたしは絵本としての文章を練る、という同時進行方式で、
きわめて厳しいスケジュールだったにもかかわらず、
しっとりした余韻のある絵本ができあがりました。
最後の見開き画面の絵を見て、ページをめくると、
もうひとつ、文章なしで、小さい絵があります。
この部分の記述は、原作には一切ありません。
でも、こうだったらいいな。
うん、きっと、こうだったに違いない。
そう思って、描いていただきました。
絵本だからこそ、できること、です。
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クリスマスのかね |
オールデン・原作 竹下文子・文 山田 花菜・絵 |
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教育画劇 |