町の中心部に入るちょっと手前の道路沿いに
大きな量販靴屋がある。
ずいぶん長いあいだ「閉店売りつくしセール」をやっていた。
一度入ってみたら、店内は投げやりな感じにがらんとして、
それでも棚にはまだまだ商品がいっぱい詰まっていた。
店員さんに「いつ閉店ですか?」と聞くと、
「さあ、ちょっとわかりません」と頼りなげな答えであった。
「売りつくし」は日常的にやっている。
売りつくすと、こんどは「新装開店セール」をやる。
そういうシステムになっているらしい。
今回もそれだろうかと思っていたら、
そのうち「閉店まであと何日」のカウントダウンが始まり、
本当に閉店してしまったのでちょっと驚いた。
ほどなく改装工事が始まり、新しい棚など運び込まれ、
塗り替えられた看板を見たら、前とほとんど変わらない
「靴」という文字が大きく書いてある。
店名が変わっただけで、あとは何も変わらない靴屋が出現した。
そういえば、この店の前も同じような靴屋だった。
その前も、そうだったような気がする。
何度でも滅びてはよみがえる不死鳥のような靴屋だ。
わざわざ改装に費用をかける意味がよくわからないが、
おそらく「人心一新」を狙った儀式的なものだろう。
こういうの、なんていうんだったかな。
「大同小異」?
「五十歩百歩」?
それらしい四字熟語などを思い浮かべてみるが、
ぴったりものがなかなか出てこない。
「政権交代」?
いや、それがぴったりでは困るんですよね。