遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

道成寺の皿

2019年05月09日 | 能楽ー実技
能の話が続いたついでに、能関係の工芸品を紹介します。
まず、定番の陶磁器です。

陶磁器の絵付けのなかで、能や謡曲はマイナーです。
骨董市でよく目にするのは、謡曲(特に、高砂)を独特の書体で描いた盃などの九谷焼の陶磁器です。
が、ぞんざいに扱っていたので、行方不明になってしまいました(笑)。

やむなく、手の届く範囲でごそごそ探しまわり、能・道成寺にちなんだ陶磁器の皿を揃えてみました。
その多くは京焼です。


1.吉向焼 謡本・道成寺懐石皿
                                      15.5x20.5cm    明治~昭和


吉向・松月の共箱、謡曲本型長皿10枚(絵違い)のうちの一枚です。
鐘の上に咲いているのは、桜です。

♪春乃夕暮れ来て見れば 入相の鐘に花ぞ散りける♪



さほど古い品ではないのですが、すごいハレーションです。



左下部に、小さく「吉向」の印があります。


2.河合栄忠画、粟田焼 道成寺稜花皿
                         径15cm  大正元年


日本画家、河合英忠が描いた能画皿 10枚の内の一枚です。
  ♪~思へばこの鐘恨めしやとて~

道成寺の見せ所(前場)。女が鐘に入らんとする、緊迫した様子が良く表現されています。
やはり、プロの絵師による絵は、他の皿とはかなり異なります。



3.清水焼 道成寺小皿
            径10.7cm   大正~昭和



皿に能の曲名が書かれているので、わかりやすい皿(道成寺前場)です。が、むしろ、書いてない方が、余韻が感じられます。
清水焼と粟田焼の違いは、はっきりしませんが、やや磁器がかった陶器です。


4.楽焼き 謡曲・道成寺四方皿
                     12x12cm  大正



道成寺、謡曲の本文の一部(前場)と鐘が描かれた楽焼きの四方皿です。
このパターンの桐製四方菓子皿が古くからあるので、それを模した物かもしれません。


5.粟田焼 能・道成寺吸物碗
                    高7.2cm  昭和(戦前)



小型の吸物碗です。五客、共箱のうちの一個です。



蓋を取ると、鐘、般若面、打杖が現れ、女が蛇に変身したことがわかります。


6.粟田焼 道成寺湯呑み
       高4.3cm、径8.3cm  明治~大正





能絵付けの湯呑み 10客(絵違い)のうちの一個です。
道成寺前場のシテ、鐘だけでなく、曲名も描かれています。




コメント (4)
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