ルス釉が全面に施された瓶掛けです。
どうやって嵌め込んであるのかわかりませんが、しっかりとした木の台がついています。
高22.4㎝、口径26㎝
貼花で見事な龍が
獅子耳、二つついています。
大型本にも、この瓶掛けは載っています。
この本(1973年発行)では、緑釉貼付雲竜文瓶掛となっています。
今は、緑釉に対して、ルス釉の名称が一般的となりました。
江戸時代、18世紀後半から幕末にかけて、瀬戸で使われた呂宋釉(るすゆう)は、 同じ緑釉の「織部」よりも、 発色が良く、 透明感が高く、均一な緑色の焼き物が得られるため、瀬戸の焼き物に広く使われ、全国的なヒット商品となりました。
均一度が高いことは平板でもあり、味わいに乏しいとも言えます。量産品ということもあって、織部の緑釉と比べ、一等低いものとされてきました。
しかし、最近、ルス釉の焼き物を再評価しようという動きが出てきています。科学的分析もなされ始めています。
ところが、ある日、B級雑鉢置場に・・・・
この瓶掛けが置かれているではありませんか。
かつて、アライグマが出入りしていた場所です。
しかも、中には土と苗が入っています。
わるびれた風もなく
「杜若の苗を植えるには、底に穴が開いていない鉢がいいんだって。これがピッタリ。」
杜若に水はつきもの。
「なるほど」と、妙に納得したのであります。
この瓶掛け、今は骨董市でも不人気ですが、その昔は結構な値段だったんです。
確か、私が古物に手を出しはじめて3つ目の品。遠い遠い昔のことです。
家での地位は、床の間脇 ⇒ 廊下の隅 ⇒ 土間 ⇒ 外 という運命をたどってきました。それでも、鉢カバーとして玄関横の地位をかろうじて保っていたのです。
しかし、ついに植木鉢へ降格。場所もB級置き場。
まあ、蘭鉢などには驚くような品もあることだし、と自分を慰め・・・・・
ここはひとつ貸しをつくったことにしておきましょう。
でも、相手に借りたという意識がなければ、貸したことにはならない?(^^;)