能楽の資料を整理しているうちに、探し物を見つけました。
10年ぶりです。
小冊子、『ゆめあはせ』です。
夢占いの瓦版があったはず、と探していました。
が、瓦版と思っていたのは私の勘違い、薄っぺらな冊子でした。
能楽関係の資料の間に埋まって行方不明になっていたのを、今回、発見したわけです(^^;
15.2 x 20.7 ㎝、京都 墨屋小兵衛、江戸後期、8丁。
本当に小さな本です。
瓦版のように薄い紙に、粗雑な版刷りが施されています。
夢の絵とその説明が載っています。
かすれて見難い文字も多いですが、わかる範囲で紹介します。
2頁分ずつ、順に、8回に分けて、見ていきたいと思います。
てんにのぼると 天に昇ると
見れバ国わうの 見れば、国王の
くらゐをゑてよし 位を得て良し。
よく/\いのるべし よくよく祈るべし。
天はるるとミれば大じん 天晴るると見れば、大臣
のくらゐをかうむる の位をこうむる。
ちゑさいかく人しらず 知恵才覚、人知るらず、
よく〳〵天とうをしんずべし よくよく天道を信ずべし。
てんよりくたるとミ 天より下ると見
れバやかてくらゐい れば、やがて位
やしくなる身持を 卑しくなる。身持を
してもちさぐるなり しても地下ぐるなり。
天にすむとミれば 天に住むと見れば、
きミのやうやくを 君の要役?を
かふむる女ハこくしゆ こうむる。女は国主
のつまとなるべし の妻となるべし
まつをとると 松をとると
見ればいのちな 見れば命
がしゑいぐわに 長し。栄華に
さかへ大きによし 栄え、大きに良し。
よろつのはなを 万の花を
手にとると見れば 手にとると見れば
万人にほめられ 万人にほめられ、
もちひらるゝとなり 用いらるるとなり。
はちすのはなを 蓮の花を
とると見れハ仏の 取ると見れば、仏の
めくミふかしと 恵み深しと
なり なり。
ハちすの花のうへに 蓮の花の上に
のほると見れバおもふ 上ると見れば、思う
事かなふてぶつくわ 事叶うて仏花
をうるとなり を得るとなり。
山がくづるゝと見 山が崩るると見
れバ大きにおどろ れば、大きに驚
きありよく/\ きあり。よくよく
つゝしむべし 慎むべし。
山よりくだると 山より下ると
見ればやまひ 見れば病
ごとあり人に見 事あり。人に見
さげらるゝ也 下げらるるなり。
ふねをこぐと見れば 船を漕ぐと見れば、
さいふうしゆごする也 西風守護するなり。
ほかけふねにのるとミるも 帆掛け舟に乗ると見るも、
又こぎ行を見るも仕合よし 又、漕ぎ行くを見るも仕合よし。
ふねにのると見れバ 船に乗ると見れば、
かならすよき家まふ 必ず良き家もう
くること有べしたゞし くること有べし。ただし
萬おもふ事かなふ也 萬思う事叶うなり。
うミに入と見れば 海に入ると見れば、
こころに何事も思ふ 心に何事も思う
事かなふ又ハほとけ 事叶う、又は仏
に申事もかなふべし に申事も叶うべし。
たきの水をのむと 滝の水を飲むと
見れバくわんおんの 見れば、観音の
めくミふくとく有 恵み福徳有
なり無病にてよし なり。無病にてよし。
つちにふすとミれば 土に伏すと見れば、
大ふつきになる又ハ 大富貴になる。又は
さけおほし又つゑをつ 酒多し。又、杖をつ
くとミればやまひ事有べし くと見れば、病事有べし。
家の内に井をほると 家の内に井を掘ると
ミればざいほうわき 見れば、財宝わき
出る也地をほると見 出るなり。地を掘ると見
れバふつきのさうなり れば、富貴の相なり。