大変珍しい品です。
花柳章太郎『ヨーロッパの町角(仮題)』16.1㎝x23.1㎝。エナメル。昭和。
花柳章太郎(はなやぎしょうたろう、明治二七(1894)年~昭和四〇(1965)年):東京生れ。劇団新派の統率者、女形として活躍。演劇の他に、俳句、随筆、作陶、絵画など多方面に才能を発揮した。
私は、この品を、ずっと陶板画だとばかり思っていました。今回のブログを書き始めるまで、例によって、品物をしっかりと見た事がなかったからです(^^;
触ってみるとヒンヤリしますが、どうも陶磁器とは違う・・・
よく見ると、陶板ではなく、真鍮板の上に、風景が分厚く描かれています。
これは、エナメル(色ガラス釉)焼付けですね。
有名画家の陶板画は、ほとんどが原画を陶板に焼き付けた数物ですが、今回の品は、作者が描いた一品物です。
エナメル(エマーユ)画は七宝の一種で、ヨーロッパで数多くつくられてきました。ほとんどが、人物を精細に描いた物です。
ところが、今回の品は、油絵の風景画に近い雰囲気の作品です。
木の幹など、よく見ると、複雑な色使いがなされています。
雪のようにふんわりした白釉の質感が、独特の雰囲気をだしています。
右下に「花」のサイン。
花柳章太郎は、文字通り、multi talent な芸人さんだったのですね。