遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

祝!gooブログ2000日 超珍品 尾高高雅『鏡文字和歌 ぬぎすてて』

2024年11月30日 | 文人書画

今日は、gooブログを初めて2000日目です(無理矢理記念日(^^;)。

何かふさわしいものはないかと探し出したのがこれです。

なんだ、これは!!!???

全体:74.2㎝x183.7㎝、本紙:59.7㎝x139.6㎝。江戸後期ー明治。

これはひょっとして、鏡文字では!?

鏡文字なら鏡に写せば元に戻るはず。

大和撫子さんにお手伝いをお願いして、姿見を立てていただきました。

すると・・・・

おお、文字らしきものが写っているではありませんか。

しかし、微妙な角度で鏡を保持し続けるよう助手さんに頼むのは気が引けます。また、近寄ってジックリと眺めるのも不可能(自分が邪魔(^^;)。

そこで、一計を案じました。

裏から眺めたらどうだろうか?

襖の間に挟み、裏側の部屋の灯りを消すと、見事に文字が浮かび上がるではありませんか。

 

必死で読みました(間違いをものともせず(^^;)。

  

       ぬ岐すてゝ堂ゝむ古ろ裳
       遍をさか為か斜な流
  もの盤宇良美な理介梨
         招 憲?  高 雅

       ぬきすてゝたゝむころも
       へをさか為かさなる
  ものはうらみなりけり
         招 憲?  高 雅

       脱ぎ捨てて  畳む衣へ  長が為
  重なるものは  恨みなりけり
                招憲?  高雅

【尾高高雅(おだかたかまさ)】文久九(1812 )年ー明治二十(1887)。号、梔園。11歳で佐渡奉行の書記となる。和歌を好み、若くして近傍に歌人として聞こえ、後に、川越藩に歌道師範として仕えた。

尾高高雅は、江戸後期、歌人として名を馳せていたのですね。

しかし、歌道と鏡文字とはどんな結びつきが?

戯れで書いたにしては大作です。

彼は、この和歌を、本当に、正攻法で書いたのでしょうか。

薄紙に普通にしたためた書を、裏返して表装すれば、裏まで滲んだ墨が、鏡文字となって見えるはず。こうすれば、簡単に鏡文字和歌ができてしまう。

この鏡文字は、果たして、表から直接書かれたものか、それとも裏返してできた文字か?

そこで、墨跡を顕微拡大してみました。

墨は、紙の表面にのっていることが、はっきりと見てとれます。

高雅さん、ズルをしたかと疑って、失礼しました(^^;

やはり、人には見せられない秘密の和歌を作品として残しておきたかったのですね。

尾高高雅は、幼少から非常に温和な性格の人物であったといわれています。

そんな彼が、こんな歌を鏡文字で書く・・・・・和歌にしたためておかねばならなかった「恨み」とは、一体何だったのでしょうか。

 

 


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ぽぽ)
2024-11-30 16:59:06
遅生さんへ
ブログ2000日おめでとうございます!
いつも楽しか拝見させていただいています(^^)
それにしてもネタが無限と思えるほどの蒐集ですね!
今回の品も鏡文字の書と正に珍品ですね!コレクター心を惹きつけますね(^^)
まともには書きづらかった恨みが気になりますね(^^)
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ぽぽさんへ (遅生)
2024-11-30 17:25:01
鏡文字というのは、かなり昔からあったのですね。
しかし、それを使った和歌が存在するなぞ、夢にも思いませんでした。
世の中には、珍妙な物があるものですね。
変人も歩けば、珍物にあたる(^^;
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遅生さんへ (Dr.K)
2024-11-30 19:38:34
gooブログ開設2000日、お目出とうございます(^-^*)

私も、これを見て、「なんだ、これは!!!???」と思いました。
下手ではないし、何だろうと思いました。
「鏡文字」と言うのですね。
確かに、薄紙に書いて裏返しに張れば(表具すれば)、「鏡文字」になりますが、ズルしているのではなく、ちゃんと「鏡文字」なんですね。
これ、書くのも大変な技術が要るでしょうね!
それにしても、11歳で佐渡奉行の書記になるとは、凄い秀才でもありましたね(^_^)
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Dr.Kさんへ (遅生)
2024-11-30 20:33:34
鏡文字は、いつ頃、誰が考えついたのでしょう。
文字遊びの一種には違いないですが、奥深いです。
チョッとなぞってみました。特に、筆で書く場合は、力の入れ具合が難しいと思います。通常とは反対に、右から左へと筆を運ばねばならないので、左利きが有利です。
ラブレターなんか、鏡文字で書いたら気が利いてますよね(^.^)
返信する
これは愉快! (highdy)
2024-11-30 20:59:18
昔の偉人の中にも、このような戯れをする方がおられたのですね。
私の大先輩かも知れません!
私の場合は、適度に略して(崩して)左から右へと横書きします。
読むときは90℃回転させて裏から読めば、縦書きに正しく崩した文字になり、筆の書き順も正しい文字になっています。
但し、漢字のみで、平仮名は書けないものが多いです。
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ブログ2000日☆おめでとうございます! (Ranchoです。)
2024-11-30 21:42:53
遅生さんへ
ブログ2000日☆おめでとうございます
これからも末永く、ブログされてくださいませ^^

鏡文字ですね^^
少し話はずれますが、芝居の演目『葛の葉』の
別れの際、障子に言葉を残します。
  くやしくば 尋ねてきてみよ いずみなる 
  信太の森の 恨み(裏見)葛の葉【毛が生えている】(歌、うるおぼえ)

障子に書く文字は赤子あやし(子は安倍晴明^^笑)の場面で、
口で書いたり、手で書いたり、裏を向いて書いたり、、、大泣きの子をあやしながら書道します。
そんな場面を思い浮かべました^^

とにもかくにも、
 おめでとうございまする!!!
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highdyさんへ (遅生)
2024-12-01 08:43:33
えーっ、highdyさんは謎の回転文字を書いていらっしゃるのですか。
驚きですが、さもありなんです。
でも、いただいた人は戸惑うでしょうね。
どう読んだらよいのかわかりません。
ヒントがついているのでしょうか。
それとも、秘密の暗号文で、部外者に読まれてはいけないシークレット文書?
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Ranchoさんへ (遅生)
2024-12-01 08:52:25
ありがとうございます。ブログにはげまなくても、日にちだけは経っていきますから、記念日とはいっても、あまり褒められたものではありません(^^;

そうですか、おもしろ書きの場面が出てくる芝居があるのですね。
考えてみれば、日本の部屋にはかならず障子がありました。そこに書かれた文字を反対側から見れば鏡文字ですから、昔の人には馴染みがあったのかもしれませんね。
返信する
Unknown (まかろん)
2024-12-01 10:11:56
遅生さん、初めまして。
ご訪問いただき、有難うございます🙏
2000日記念、おめでとうございます😊

お邪魔しましたら、なんとも強烈な記事で
引き込まれました。

ミステリーですね・・。

ぞくぞくワクワク拝読しました。

12月ですね。
1年の締めくくりの月ですから、
きっと強烈なネタがまた出てきそうですね。
これからも元気にお過ごしください。
ご訪問有難うございました。😊
返信する
遅生様おめでとうございます。 (けんすけ)
2024-12-01 12:25:59
遅生様の様なお宝物のご紹介は中々出来るものではありません。
驚きと共にいつも拝見させて頂いております。
2000日記念日嬉しく拝見しましたよ。これからもお宝もののご紹介楽しみにしております。
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