遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

陶胎七宝花蝶紋中皿

2024年08月01日 | 陶磁胎七宝

今回は、陶胎七宝の中皿です。

これまで見てきたように、陶胎七宝のほとんどは、袋物のような器です。平面的な皿は稀です。その理由ははっきりしません。推測するに、明治初期に輸出する際、諸外国で室内に飾れる器を優先させたからだろうと思われます。立体ものであれば、そのまま置いて様になります。ところが、皿だと立てなければなりません。しかも、そこそこの大きさでないと、飾り映えがしません。そんなわけで、皿の類が少ないのだろうと考えています。

今回の品は、その少ない皿の一つです。

 

 

口径 19.7㎝、高台径 10.1㎝、高 2.6㎝。重 432g。明治初期。

以前に紹介した陶胎七宝小皿と同じく、半陶半磁の胎土です。今回の品の方が、もう少し磁器がかっています。

釉薬は、通常の磁器の釉薬とほぼ同じです。

ズシリと重い皿です。

高台の内側に、微細な砂が付いています。

全面に、細かいジカンがびっしりと出ています。まるでひび焼きのようです。

表面は大きく3つに分割され、それぞれに、花々と二匹の蝶が泥七宝で表されています。

地は、ハート形の植線でびっしりと埋められています。これは、京都錦光山の陶胎七宝の特徴です。ただ、土はかなり異なります。このような品も、京都で作られたのでしょうか。

外周は鍔状になっていて、ここには七宝が施されていません。かわりに、色釉で分厚く、花が描かれています。

右側の白い花の真ん中は、白く凸凹になっています。

これは疵か?

と思い、他の花を見てみたところ・・

貝のような模様になっているではありませんか。

これは、花芯を表しているのですね。

なかなかに芸が細かいです(^.^)

色目もはなやかだし、これなら、ヨーロッパの小部屋を飾るのに良い品だったのかもしれません。

コメント (6)
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