先回に引き続き、原三渓の母方祖父、美濃の南画家、高橋杏村の絵です。
全体:61.3㎝x195.6㎝、本紙(紙本):50.0㎝x129.4㎝。幕末。
先回と同じく、花鳥図です。
やはり、穏やかな筆使いの絵です。
柳と鳥が描かれていますが、この鳥は?
雀のようにふっくらとしていますが・・・・
胸が赤く、尾羽は2本に分かれています。
どうやらこれは、雀ではなく、燕ですね。
実際の燕はどうかというと、雀に似た体型で、思ったよりポッテリしています。
また、南宋画の大家、牧谿は、『柳ニ燕図』をのこしています。
牧谿『柳ニ燕』(東博)
やはり、雀のようにふっくらした燕が描かれています。
燕の写真からしても、これのようなふっくらツバメが実際の燕に近い。
私たちの頭にある燕像とは少し異なりますね。
ツバメというと、スーっ低空飛行して飛び去って行く、スリムなステルス機のイメージが強いです。
燕の場合、スピードを出して飛ぶ姿が、実際よりもスマートなイメージを定着させたのでしょう。
日本の文人画家は、もともと、中国の描法を手本にしました。ですから、美濃の南画家、高橋杏村も、南画の大家、牧谿の燕にならって、実際に近い形で、燕と柳を描いたのではないでしょうか。