遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

高橋杏村『淡彩柳燕図』

2025年01月14日 | 文人書画

先回に引き続き、原三渓の母方祖父、美濃の南画家、高橋杏村の絵です。

全体:61.3㎝x195.6㎝、本紙(紙本):50.0㎝x129.4㎝。幕末。

先回と同じく、花鳥図です。

やはり、穏やかな筆使いの絵です。

柳と鳥が描かれていますが、この鳥は?

雀のようにふっくらとしていますが・・・・

胸が赤く、尾羽は2本に分かれています。

どうやらこれは、雀ではなく、燕ですね。

実際の燕はどうかというと、雀に似た体型で、思ったよりポッテリしています。

また、南宋画の大家、牧谿は、『柳ニ燕図』をのこしています。

牧谿『柳ニ燕』(東博)

やはり、雀のようにふっくらした燕が描かれています。

燕の写真からしても、これのようなふっくらツバメが実際の燕に近い。

私たちの頭にある燕像とは少し異なりますね。

ツバメというと、スーっ低空飛行して飛び去って行く、スリムなステルス機のイメージが強いです。

燕の場合、スピードを出して飛ぶ姿が、実際よりもスマートなイメージを定着させたのでしょう。

日本の文人画家は、もともと、中国の描法を手本にしました。ですから、美濃の南画家、高橋杏村も、南画の大家、牧谿の燕にならって、実際に近い形で、燕と柳を描いたのではないでしょうか。

コメント (6)
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