急須はお手軽陶磁器
陶磁器を集めるなら、まず、そばチョコから、というのが、定番のようです。確かに、そばチョコは、種類、量ともに豊富です。染め付けや伊万里を勉強するにはうってつけです。
が、私の場合、収集のモットーが広く浅くなので、他に何かないかと考え、急須に行きあたりました。急須の場合、形や絵付け、生産地、時代など実に幅広い。
それに、そばチョコは一個買うにも、結構な値がついています。急須の場合は、煎茶に関心が薄れた今、こんな値段でという品が多くあります。急須は財布にやさしいのです。
骨董市へ出かけて、獲物が何もなかった時、つい一個という事も多々ありました。
そんなわけで、一時は、30個以上の急須や煎茶セットが集まってしまいました。その後、人にあげたり、割ったり、どこへしまい込んだかわからなくなったりして、手元に残っているのは半分以下です。
急須はいろいろ
急須は実用品です。
姿形も重要ですが、煎茶の入れ具合は使ってみて始めてわかります。
黄瀬戸の急須です。瀬戸か美濃のどちらか不明。時代は明治。
かなり黄瀬戸らしい黄瀬戸です。控えめにうたれた胆磐もいい感じです。
お茶を大変おいしく入れられます。形が扁平なので、茶葉が広がりやすいのでしょうか。ある日、手が滑って、蓋が落ち、取っ手を垂直に直撃しました。見事に取っ手が割れ落ち、やむなく自前で金継ぎ。
楽焼き風の軟陶急須です。矢島寿山(初代)作、大正時代。大きく彫られた漢詩が独特の雰囲気を醸し出しています。熱が伝わりにくいので、お茶を入れるとき、磁器の急須よりもやさしい感じがします。またも、誤って蓋を割ってしまいました。
常滑焼きの宝瓶形急須です。山田常山(3代?)作。
シャープですきのないフォルムはさすがです。使い勝手も非常に良く研究されていて、用と美を備えた完成度の高い急須です。取っ手ではなく、両耳を指で押さえて使うのも、案外、良いものです。
明治九谷の急須です。九谷らしい絵付けのセットもの。この器形の急須は、思ったより多くお湯が入るので、注ぎ終わるのに時間がかかります。茶漉し部は小さく詰まりやすい。取っ手もきゃしゃで、少しバランスが悪い。この手の品は多く残っているので、手軽に明治の気分を味わうには向いています。
明治の瀬戸か美濃で焼かれた急須だと思います。瀟洒な山水が絵付けされています。明治初期、美濃の技術を北海道で展開した函館焼の雰囲気にも似ています。全体の形は、先の九谷焼急須と非常によく似ています。九谷かも知れません。大日本原平造の銘があるので、輸出向けの品だったのでしょうか。この形の急須は、やはり使いづらい。
産地、時代、作者など全く不明の手捻り急須です。川面を大きな鯉が2匹泳いでいます。摘みと取っ手は霊芝です。湯冷ましと煎茶碗もセットでついていて、網、籠の模様が浮彫りになっています。多分、趣味人が自分用に作った物でしょう。マニアックな世界にドップリとつかることが出来ますが、使い勝手はよくない。
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