中国の石碑拓本「護道」です。
全体、49.9㎝x179.6㎝、本紙、47.6㎝x93.5㎝。中国。石刻、6世紀(推定)、拓、20世紀(推定)。
ずっと以前、古本市のカタログに泰山金剛経の拓本がバラで15枚ほど出ていました。その中から、これはという物、「護」と「道」を注文し、表具屋で軸に仕立ててもらいました。本当は、「諦」と「道」にしたかったのですが、「諦」はありませんでした。やむをえず「護道」となった次第です(これも「諦道」(^^;)
手で触れると、紙の凸凹が感じられ、印刷ではないことがわかります。
すごい迫力です。
泰山金剛経碑は、中国山東省泰安県にある中国五大名山の一つ、泰山の中腹の巨大岩盤に刻まれています。「金剛経」(「金剛般若波羅蜜経」)は5178字からなり、そのうち2790字が岩盤に刻まれたと言われています。「金剛経」としては未完なのですね。そのうち、現存するのは1000文字ほどです。北斉時代(5~6世紀)に刻まれたと考えられていますが、正確な時代、作者は不明です。
泰山金剛経碑拓は、骨董市場で時々見かけます。現地では、戦後まもなく、拓本をとることが禁止となったので、現在流通している石碑拓本は、それ以前の物です。50㎝四方の大きさがありますから、いずれの文字もかなりの迫力です。その中でも、「道」は人気があるようです。隷書から楷書への過渡期の書体で雄大に表された「道」は、「諦」でも「護」でもドンと受け止める度量がありますね(^.^)
こんな有名な拓本は、もう、滅多に出回らないでしょうね。
良い文字ですね。
1字、1字見ていても、それぞれに味があり、それぞれの持っている文字の意味を感じさせますね!
「護」は、いかにも何かを護っているようですし、「道」は、いかにも道そのものを感じさせますね!
これが、我が道を行く、「道!」だと、、、。
古い石刻もそうですが、中国は何でもかんでもスケールがでかいのに圧倒されます。
万里の長城や新しいところでは明の十三陵なども観て来ましたが、古代のエジプトのピラミッドの石棺もこんな感じだったのかなと、想像を膨らませて観ていました。
一文字の大きさからしてかなり大きな石碑だったのでしょうね。その拓本なんて素晴らしいです。
書がからっきしダメな私が言うのもなんですが、筆の運びは平面だけでなく、垂直方向、特に下へ向かう力が大切です。紙の上には、濃さやにじみとしてしか記録されませんが、碑の場合7は、彫り込むわけですから、深く彫れば力の強さが表せます。石碑の「道」の写真を見ると、しんにゅうのはねる前が相当深く彫られていて、力強いです。
ちまちまとした毎日を送っている現代人とは、世界観が異なっていたのでしょうね。
今回の泰山金剛経碑文は、山の中腹に露出した岩盤に直接彫り込んだものです。誰がこんなことを考えつき、実行したのでしょう。
何かの記録に残っていてもよさそうなものですが、今だ謎です。
旅の桂林で現代書家の「道」一文字の掛け軸を買って来ました。
しんにょうがあまりにも美しくて、いとおしくて、買わなくてはいけないと強い思いで買いました。
中国旅行で良い「道」に出会ったなら、もう買うよりほかないですよね。
こん回の拓では、しんにゅうが極めて強調されています。それでいてバランスが保たれている。不思議です。