今回の品は、陶胎七宝の急須です。
小形ですが、ズシリと重い品です。
横 (注口、把手含む) 11.3㎝ 、底径 7.2㎝、高 6.5㎝。重 208g。明治初。
本体:胴径 6.5㎝、底径 7.2㎝、高 4.9㎝。重 123g。
蓋:径 5.0㎝、高 2.1㎝。重 85g。
古い金直しがあります。
七宝釉は、これまでの品と同じく泥七宝の色釉です。
しかし、地の植線はハート形ではなく、雲?のような不思議な形です。
また、胴には、花のような幾何学模様が大胆に配置されています。
この主模様も、これまでの品には見られないパターンです。
そして、今回の品の眼目は、これ。
窯疵を色釉で分厚く塗って覆い、焼成してあるのです。
これは、まるで、古九谷ではありませんか。
分厚く重い銀の蓋には、
作者の銘が、ドーンと入っています。
以前紹介した陶胎七宝四方香炉は、もともとの茶器の蓋が破損したため、唐木で蓋を作り、香炉に仕立てた物でした。
今回の品も、陶器の蓋が壊れ、銀の蓋をしつらえたのでしょうか。
どうも私には、初めから銀の蓋の陶胎七宝急須として作られたように思えてならないのです。
おそらく、趣味人が、自分用に作らせたのでしょう。
これまで紹介してきた19個の陶胎七宝のうち、美術的にもっともすぐれた品は、今年1月に紹介した陶胎七宝蝶紋コンポートです。
しかし、私が一番にしているのは、今回の品。
今度は、この急須で、お茶を淹れてみます(^.^)