プラチナ世代のマラソン旅行

時悠人chosan流処世術

★萩紀行⑤:松陰先生

2021-11-25 07:27:23 | 日記・エッセイ・コラム
 吉田松陰は、「安政の大獄」で捕えられ、30歳の短い生涯を閉じたが、多くのことを成し遂げた。

 江戸遊学中の23歳の時、140日間におよぶ東北周遊に出ているが、藩が発行する通行手形が、国許から届くのを待たずに出発したために、士籍を失い、浪人になったことが惜しまれる。

 道中を記した『東北遊日記』の一節に、「皆曰く、ひろく学んでしかる後遠遊すと。僕はすなわち遠遊して後に学を博す。」とあり、松陰の哲学が窺える。

 国の未来を見据え、志を高く持ち、周囲の目や危険を顧みず、信念を貫徹し処刑されたが、その遺志を継いだ松下村塾の門下生が、明治維新に活躍した。

 ネットで得る情報は、陳腐化する。しかし、自分の目で見て、得た知識は、忘れない。私には、松陰先生が、スマホ依存症を、こう嘆いているように思う。


★萩紀行④:夏みかん

2021-11-24 08:04:46 | 旅行記
 武家屋敷界隈を歩いていると、よく目につく「夏みかんと土塀」は、萩のシンボルと言える。

 現地では、夏橙や夏蜜柑とも呼ぶが、白壁や瓦むき出しのあら土の塀の上から、黄色い夏みかんが、可愛い顔を覗かせている景色は、絵になる。

 しかし、美しい景色と裏腹に、夏みかんは、萩のつらい歴史の象徴でもある。萩は、長い間、長州藩の政治経済の中心地として栄えたが、1863年に、藩主が、山口に移ったため、武士の流出で大打撃を受けた。

 財政再建策として、廃屋同然となった広大な侍屋敷の土地に夏橙を植栽したのが始まりだ。

 船頭さんの説明では、「夏みかんの実は、収穫しなければ、前年の実と今年の実が同じ木になるので、「夏代々」と呼び、「代々続く」縁起物でもあった。

 その後、大阪市場に出荷したところ、「代々」は「よよ」とも読めるので、問題が発生した。

 近畿地方では、中風のことを「よいよい」と呼ぶ人もいて、食べると中風になると嫌われたので、「夏蜜柑」に改名したのだそうだ。"(-""-)"

★萩紀行③:風情

2021-11-23 08:11:42 | 旅行記
 萩市は、人口5万人程の小都市だが、伊藤博文、木戸孝允、高杉晋作等々を輩出した“明治維新胎動”の歴史が息づく城下町で、見所が随所に詰まっている。

 2015年に「明治日本の産業革命遺産」として、世界遺産に登録されたのも、先人の進取の精神が受け継がれた賜物で、今も教育熱心な土地柄だ。

 城下町は、日本海に面した城の外堀から碁盤目状に区画され、武家屋敷から医者・商人町へと広がっており、歩くと、街の匂いの違いが分かる。

 城近くから出ている「萩八景遊覧船」で、水の都・萩の城下町を川と海から眺めてみて、独特の地形が、萩観光の特徴を創出していることを実感した。

 船頭さんに、「何処から?」と訊かれて、金沢と答えたら、「百万石に比べると、貧乏だから、保存の費用が無い」と謙遜したが、私は、萩の方がはるかに昔ながらの風情を留めていて、居心地よさを感じる。

★萩紀行②:外観

2021-11-22 08:12:21 | 日記・エッセイ・コラム
 金沢から萩へのアクセス方法は、陸路を利用すると、行くたびに、遠いと感じる。

 金沢午前8時15分発特急「サンダーバード12号」に乗り、新大阪で九州新幹線に乗り換え、さらに、新山口からバスで1時間。萩に着いた時には、午後3時半を過ぎていた。

 さて、萩市の中心部は、日本海と橋本川・松本川で形成する日本有数の規模を誇るデルタ地帯に位置するので、JR山陰本線が三角州の外側を迂回しているように、交通不便な地形になっている。

 しかし、城下町の頂点を成す萩城跡・指月公園が、JRの駅から離れた場所にあるので、逆に、観光資源を保存する面で貢献している。

 言ってみれば、観光客には有難い地形で、城跡から武家屋敷町・町家へと続く街並みは、車の往来が少なく、閑静で、昔ながらの城下町の風情が漂っている。

★萩紀行①:プロローグ

2021-11-21 08:03:08 | 旅行記
 11月16日朝、金沢を発って、萩&湯田温泉を巡る二泊三日の旅が始まった。

 西日本エリアへの旅行は、昨年11月以来だった。ホームに、大阪行きの特急「サンダーバード」を待つ長い列が出来る光景は、1年前には見かけなかった。

 同じ時間帯に、名古屋方面に向かう特急「しらさぎ」を待つ人の姿がまばらだったので、京都の紅葉が見ごろを迎える時期になったことを直感した。

 京都は、北陸から日帰り観光圏内なので、列車は、通年で混むが、現在、一部の特急を間引きしているのも影響しているのか、乗車率は、90%近かった。

 出発後、福井でほぼ満席状態になったが、推察通り、京都で半数近くの乗客が下車したので、「GoToトラベル」を再開しなくても、確実に客足が戻ってきていると実感した。