でんことメディア(5)

2011-05-18 11:05:29 | 日常

東京新聞の5月17日朝刊(こちら特報部)にマスコミと東電をめぐる
特集が掲載されていました。とても興味深かったので、転載させて
いただきます。

コロ子から一言 
東京新聞は福島第一原発事故後、タブーなく原発関連の検証記事を
連載しています。
どうか、みなさま東京新聞にSwitch!してください。



競争ないのにナゼ マスコミ覆う呪縛

マスコミへの広告・宣伝費は約90億円、交際費は約20億円ー。福島第一
原発事故の損害賠償をめぐり東京電力の清水正孝社長が参院予算委員会で
明かしたカネが波紋を広げている。最近は省エネを呼びかけるCMを目に
する機会が多かったが、東電は一部自由化されたとはいえ、電力事業で
競争の少ない独占企業体だ。法外な費用を識者はどう受け止めたのか。
(中山洋子、秦淳哉)


 「競争がない企業に、なぜ巨額の広告が必要なのか」。十三日の参院
予算委員会で、広告費等について東電に質した中西健治議員(みんなの党)
が憤る。
 素朴な疑問に端を発した質問だったが、その後、中西氏のもとには
「自分もおかしいと思っていた」と賛同する声が続々と寄せられている。
 国会で、清水社長が明かした二つの金額は二〇〇九年度の実績。交際費に
ついては「政界の交際費」を聞いたのに、公表しない。追求すると清水社長
は、「(政界分のみを)分類整理していない」と答えるにとどまった。
 中西氏は「似たような企業にはJR東日本などもあるが、少なくとも飛行機
や自動車との競争がある。東電はほかに選びようがない地域独占企業。その
広告費としては大きすぎる」と語る。
 新聞広告の場合、東電は在京各紙などに同じ内容の広告を掲載している。
ただ、部数などに応じて金額は異なる。
 テレビはどうか。CM雑誌「CM NOW」の番組スポンサーリストによると、
事故前の二~三月で、在京テレビ五局のすべてに東電がCMを提供していた。
報道ニュース番組のスポンサーに名を連ねることが多い。
 実は東電の「広告」費用はこれだけではない。
 東電によると、「普及開発関係費」と呼ぶ広告関連費は、〇九年度で約二百
五十億円。電力館(東京都渋谷区)などの運営やイベント費などを含むとみら
れるが、内訳について「現段階ではお答えできない」(広報担当者)。この
金額には、先の九十億円が含まれていると中西氏は見る。
 PR拠点は、横浜市の「電気の史料館」や富津火力発電所(千葉県)に隣接
する「TEPCO新エネルギーパーク」と数多い。いずれも原発事故後は休館して
いる。
 賠償金の支払いのため、東電では役員報酬カットなどと合わせ、不動産や
株式など五千億円の資産売却を検討しているが、広告費やPR施設について
「見直し対象かどうかも言えない」(広報担当者)と言う。
 中西氏は「東電は節電CMなどを放映しているが、電力15%削減は国の方針。
黙っていてもテレビや新聞が報じてくれる」と切り捨てる。こうした広告が
続くことが、東電のリストラ策の「手ぬるさ」の表れとみる。
 予算委員会で、中西氏は「高水準だといわれている退職金や年金にも手を
つける必要がある」と追求。公的資金が投入された日航では現役五割、OBは
三割が削減されたことを挙げたが、清水社長は「年金は社員の老後に直結する
問題なので、現時点では検討していない」とかわした。
 その後、答弁に立った菅直人首相が「東電自身にも大きな努力をしてもらう
のは当然」とけん制する場面もあった。
 中西氏は「電力会社に必要なのは競争。会社の温存を前提とするのではなく、
送電線を開放して新規事業者を増やすべきだ」と強調する。
 東電に限らず、電力会社の広告・宣伝費は多額だという。いったいどのよう
に使われるのか。
 スポーツライターの玉木正之氏は、電力会社のギャラの高さに驚いた経験が
ある。「東電ではないが、昨年、新聞の一面広告のインタビューとして自由に
意見を言ってくれとの依頼が広告代理店からあった。謝礼は五百万円とのこと
だった」と明かす。
 「仕事を引き受けるつもりで『今ある原発はともかく、これ以上原発を増やす
べきではない』と話したいと伝えた。ところが代理店側から『それでは困る』と
言われ、メールと電話でそれぞれ三回ほどやりとりした。結局『また機会があれ
ば』と物別れになった」
 玉木氏のような著名なライターでも、五百万円のギャラは破格だろう。「原発
の重要性を語らせるつもりなら、最初から私は不向き。地域独占と公共料金で
なりたつ電力会社に宣伝費が必要だとは思わない。高額ギャラは口止め料の
つもりだと思った」と振り返る。
 広告・宣伝費という「武器」を持つ電力会社から、マスコミが圧力を受けた
ことも度々ある。
 ジャーナリストの青木理氏は「二〇〇八年、大阪の放送局が(原子力専門家
で原発の危険性を警告してきた)京都大学の小出裕章助教らを取材して放送した
ドキュメンタリーがあったが、電力会社が抗議して放送局の番組から広告を引き
揚げた。電力会社は否定しているが、局幹部にも原発の安全性を強調した講習を
受けるように要求したようだ」と続ける。
 「これ以前にも、広島のテレビ局が低線量放射線による被ばく問題を放送した
時、地元電力会社から広告引き揚げの圧力を受け、当時のプロデューサーらが
左遷されたこともあったと聞く」
 実際、東電のマスコミ対策は二百五十億円以上と言うのは評論家の佐高信氏だ。
「表向きの宣伝費とは別に、記者の接待や交際費もある。(電力各社でつくる)
電気事業連合会の宣伝費も加えれば、実際にはもっと多い金額になるはずだ」
 さらに「福島第一原発1号機がメルトダウンしたことが判明した今も、以前
から原発の危険性を主張し続けた作家の広瀬隆氏を正面から取り上げたメディアは
少ない。東電の広告費による呪縛はまだマスコミ全般に行き渡っている」と批判
する。
 原発事故の後、原発擁護派の有名作家が還暦祝いパーティーをホテルで開いたが、
ここには元東電幹部も参加していた。
 佐高氏は「事故が収束しない時期に、こういった無神経な行動をする文化人らを
一人ずつ追求し、過去の行動も検証すべきだ。そうでなければ米中央情報局(CIA)
になぞらえ、原発推進のために暗躍する通称TCIA(東電CIA)と呼ばれる人も復活
し、マスコミ対策を強化するだろう」と危ぶむ。
 多額の広告費を受け取る一方で、原発の問題点をどのように報道してきたのか、
各メディアの報道姿勢も問われている。
 前出の青木氏は「思想・信条とは関係なく仕事を引き受けざるを得ないタレント
はともかくとして、ジャーナリストやニュースキャスター、弁護士、評論家、作家
の人たちが、社会的に対立する問題に関し、ギャラをもらう広告で発言するのは
控えるべきだ」と指摘し、こう提言する。
 「原発推進の意見を持つのは自由だが、彼らは自らが活動する表現の場を使って
意見を主張すればいい。それが社会的に影響あるとされる人たちの責任だろう」
 

 


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