長野県の場合、最近3年間だけで29人の産婦人科医が県内の基幹病院から離任し、最近5年間で県内の分娩取り扱い施設が23施設減少、最近1年間だけで11施設も減少しました。さらに、「近い将来に分娩を中止する可能性がある」とアンケート調査に回答した施設が、分娩取扱い施設の約3割にあたる15施設に上っており、分娩を取り扱う施設は今後もさらに減り続けてゆくであろうと予測されます。(長野県産婦人科医会)
当医療圏においても、平成元年には分娩取り扱い施設が14施設(病院:4、診療所:10)ありました。その後、当地の分娩取り扱い施設は毎年どんどん減り続けて、昨年の6施設から今年はさらに半減し3施設(病院:1、診療所:2)にまで減ってしまいました。
現状では、中小の病院が点在しているため医師も拡散され、基幹病院での極端な医師不足が起こっています。基幹病院の医師の労働条件を最悪のままに放置しておいて、いい医療を望むのはないものねだりだと思います。もはや、近くの病院にこだわるほど勤務医は残ってません。交通網を整備し、一医療圏に一総合病院を集約し、設備人員をきちんと配置することが肝要です。
地域の医療が崩壊し、完全に手遅れになってからでは手の打ちようがありません。今ならまだ何とかなると信じ、当地域が産科空白地帯になることを何とかして阻止したいと思っています。
****** 読売新聞、2006年12月1日
お産可能な施設、全産婦人科の半分以下に…05年厚労省調査
医師不足現場は悲鳴
産科・産婦人科のある医療機関が減り続け、このうち、お産のできる施設が昨年初めて半分を割ったことが30日、厚生労働省がまとめた2005年の医療施設調査でわかった。
(中略)
調査によると、産科・産婦人科を掲げている病院は1616施設で、前年より50施設減った。診療所も加えた産科・産婦人科5997施設のうち、お産を扱っているのは2933施設と全体の48・9%。1984年の調査開始以来、初めて半分に満たなかった。
(以下略)
(読売新聞、2006年12月1日)