コメント(私見):
地方病院での研修の場合に、都心の大病院での研修と比べて、『経験できる症例数の不足、日進月歩の最新技術の習得が困難、専門医資格の取得が困難』などの多くのハンディキャップがあり、地方病院ではなかなか新人を集められません。
若い意欲のある医師達が、自分の技量を最大限に高められる病院で研修をしたいと思うのは当然のことだと思います。「地方では医師不足が深刻だから、是非とも来て欲しい」などと言って、いくら一生懸命に勧誘しても、若い医師達が集まるとは到底考えられません。
例えば、研修医本人の希望に応じて、症例数の多い都心の最先端の病院などと提携した研修プログラムを提案するとか、地方病院での研修と国内外の希望大学への留学とを組み合わせた研修プログラムを提案するとか、超一流のカリスマ指導医師に定期的に地方病院に直接指導に来ていただくとか、のさまざまな工夫が絶対に必要だと思います。当然ながら、”相当な報酬”も必要になると思われます。そのような研修プログラムに多くの若い医師達が参加してくれれば、地方病院にとって、単に医師不足の解消だけでにとどまらず、医療水準の向上も大いに期待できると考えられます。
****** 朝日新聞、2006年12月17日
産婦人科医希望2割減 研修必修化以降、特に男性が敬遠
全国的に産婦人科医不足が問題となる中、2年間の臨床研修を終え、今年度、日本産科婦人科学会に入った医師は、これまでより、2割以上減ったことが16日わかった。学会のまとめでは、例年350人前後の医師が入会して産婦人科で働いていたが、今年度は285人になっていた。特に男性医師の落ち込みが激しいという。
臨床研修が04年度から必修化され、研修医は2年間、各科を回った後、専門科を選ぶ制度になった。学会が02~04年度に国家試験に合格した医師の学会入会者数を調べたところ、02年度346人、03年度366人だったのに対し、研修1期生の04年度(今年度入会)は285人に減少した。うち男性医師は、02、03年度は130人台だったが、04年度は82人しかいなかった。
こうした状況が続くと、お産を担う医師が、さらに不足するため、学会は、医師勧誘のDVDをつくるほか、他の診療科に比べて高い訴訟リスクを低くするために診療ガイドラインを整備する。学会理事の吉川裕之・筑波大教授は「出産に、男子医学生の立ち会いを拒否するケースも増えており、希望者が減っているのだろう。女性医師を活用した働き方を検討しなければならない」と話している。
(朝日新聞、2006年12月17日)