ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

お産難民の問題

2006年12月29日 | 飯田下伊那地域の産科問題

今年もあと残りわずかとなってきました。1年前(昨年暮れ)に何となくこのブログを立ち上げました。何事もなかなか長続きしないあきっぽい性格の私なんですが、次から次へと産科関係の歴史的大事件が勃発し、このブログの日々の更新だけは私には珍しく長続きしていまして、何とか開設1周年を迎えることができました。

今年の特徴的な出来事としまして、全国的に多くの産科施設が分娩取り扱いを中止してゆくなかで、お産難民の問題が表面化しました。

当医療圏におきましても、昨年末~今年初めにかけて分娩取り扱いを中止する施設が相次ぎ、当地も大量のお産難民が出る危機に直面しましたが、地域医療協議会(産科問題懇談会)を立ち上げて、地域の連携・協力体制を構築して、今年は何とかお産難民を一人も出さないで急場を乗り切ることができました。

しかし、今後、この地域の産科を取り巻く情勢はますます厳しくなってゆくことが予想され、来年の今頃はこの地域の産科事情が一体全体どうなっているのか?全く予測できません。みんなで無い知恵を絞って、今後も地域で緊密に連携・協力し、何とかして、この危機を乗り超えていきたいと考えています。

お産難民:病院で出産したくても、病院に産婦人科医が少ないなどの理由で、分娩場所を確保できない妊婦。