『産科に関する公式の診療ガイドライン』が、これから1年間をかけてまとめられる予定とのことです。
婦人科腫瘍の診療に関しては、従来より、各疾患に関する取り扱い規約がありましたし、最近では、卵巣癌や子宮体癌の診療ガイドラインも刊行されました。どの患者さんに対しても、エビデンスのある標準治療を実施するというのが大原則になっています。ちゃんとした病院であれば、標準治療からはずれた病院独自の治療を実施するなんてことは、ほとんどあり得ないと思います。
しかしながら、産科に関しては、それぞれの分娩取り扱い施設にそれぞれの独特の流儀が存在し、中には、かなり古い前時代的な医療を実施している施設も存在します。現時点における標準治療は何なのか?は、誰にとっても非常に分かりずらいというのが現状です。
日本のすべての分娩取り扱い施設が必ず準拠すべき『公式の診療ガイドライン』を早急に作成し、定期的に改訂版を刊行して常に進化させて、現時点における産科の標準治療は何であるのか?を、今後はっきりと示していく必要があると思います。
****** 朝日新聞、2007年3月21日
お産ガイドライン作成へ 産婦人科学会 訴訟対策も視野
日本産科婦人科学会は、「お産」に関する診療のガイドラインを08年までに作ることを決めた。標準的な治療法の普及が目的だが、お産をめぐる医療事故が相次ぐ中で「訴訟対策」もにらんだ内容とする。開業医が中心の日本産婦人科医会と共同で、現場の意見も聞きながら約1年かけてまとめる。
21日に開かれる同学会の医療提供体制検討委員会で発表する。原案は同学会と産婦人科医会の会員計24人からなる委員会が作成中。「妊娠初期に必要な検査」「帝王切開経験者の2度目の出産法」など、選択肢が複数あるような64項目について、Q&A方式で解説しつつ推奨度を示す。
07年度中に原案を学会のホームページに掲載し、3~6カ月間の試行後、08年に正式版を発行する予定だ。
(以下略)
(朝日新聞、2007年3月21日)