ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

卒後研修システムの変化

2007年05月18日 | 地域医療

かつての卒後研修システムでは、若手医師たちがどの病院でいつからいつまで研修するのか、自分自身では全く関与できませんでした。

私自身、若い頃、いくつかの研修病院で勤務しましたが、ある日突然、『来月1日付けで○○病院への転勤が決まった』と医局長からの電話通告があって、あわてふためいて引越しの準備を始めました。次の勤務先でいつまで働くことになるのやら、いつになったら大学病院に戻ることになるのやら、自分では全く予測もできませんでした。当時は、日本中の若手医師たちが同じような境遇に置かれていましたので、その研修システムに対して異議を唱える者はいませんでした。

最近、卒後研修システムががらりと変わって、今では、若手医師たちが自分の進路を自ら選択する時代となってきました。彼らは、民間の医師紹介会社などを利用して、自分の研修病院は自分自身の希望条件で探し求め、医師個人と病院との直接交渉で研修病院が決定されるのが主流となりつつあります。彼らは、全国の多くの就職先候補病院の研修環境、雇用条件、住環境などを比較検討し、『専門医資格に向けた訓練ができて、キャリアアップにもつながり、きちんとした給料をもらえる病院』を、自らの意思で選択できるようになりました。

いったん研修を開始した若手医師でも、いつまで勤務してくれるのか?は、実際の研修内容次第です。もしも、研修を開始してみたものの、この病院では自分の希望するような研修ができないと判明すれば、彼らは自らの意思ですぐに退職してしまい、次の研修病院を探し求めてさっさと移動してしまうかもしれません。

これからは、若手医師たちにとって魅力的な研修態勢が整備され、専門医資格が取得できる教育病院として学会から施設認定を受けてない限り、若手医師からは決して選択してもらえないと思われます。