コメント(私見):
最近の若い産婦人科医では、女性医師の占める割合がだんだん多くなってきてます。女性医師の場合、自身の妊娠・出産・育児と仕事の両立が難しくなって、就労継続を断念し離職する者も少なくありません。院内保育所の整備、柔軟な勤務形態(フレックスタイム、短時間勤務、ワークシェアetc.)の導入など、女性医師が就労継続しやすい職場環境を整える必要があります。
柔軟な勤務形態を導入しても業務に支障がでないようにするためには、産婦人科医の頭数を増やすことと同時に、産婦人科を志望する男性医師を増やしていくことも非常に重要だと思います。
たまたま当科の女性医師が医局人事の異動、個人都合などで同時に2人退職した関係で、今月から当科の常勤産婦人科医は(当世では珍しく)男性医師のみ5名の診療体制となっています。やはり、女性医師を待望する巷の声もちらほら耳にします。
ここ20年間だけでも日本の産婦人科医療提供体制は大きな変貌を遂げました。その間の当科の職場環境の変化も非常に大きかったです。今後も試行錯誤を繰り返しながら、女性医師にとっても男性医師にとっても、働きやすい理想の職場環境の実現に向けて、自ら変化していく必要があります。
****** CBニュース、2009年6月4日
「過酷な」勤務実態で産科女医の就労継続困難に
【要約】 日本産科婦人科学会は、「産婦人科勤務医・在院時間調査」の最終報告書を公表し、病院産婦人科の厳しい勤務環境は、特に結婚・出産などを経た40歳以上の女性医師の継続的就労を困難にしている可能性があるなどとした。調査は、「卒後研修指導施設」750病院を対象に、昨年6月から11月にかけて実施。一般病院に常勤する産科医451人と、大学病院に常勤する産科医182人から回答を得た。一般病院勤務医451人のうち、がん診察専門施設勤務医を除き、当直体制のある一般病院勤務医は364人、当直体制のない一般病院勤務医は80人だった。データを回収した40歳以上の女性医師数は一般病院と大学病院を合わせて38人で、男性医師数256人に比べて非常に少なかった。現状の病院産婦人科の勤務環境は、家族のいる40歳以上の女性医師が継続的な就労をするには条件が厳し過ぎる可能性があるとした。20歳代と30歳代の産婦人科医に占める女性医師の割合が多いことから、こうした人たちが40歳以上になっても病院勤務を継続して臨床現場を支え、若手医師を指導できる環境を整備することによって初めて、「産婦人科医療の将来に明るい展望を持つことが可能になる」と強調。「過酷な」勤務実態を改善し、「在院時間の短縮」を達成するための具体的な方策を立案し実行することが必要と結論付けている。
(CBニュース、2009年6月4日)