月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ヌンキ・6

2014-12-11 07:03:30 | 詩集・瑠璃の籠

美しい魂を持った者は
もうそこを去るがよい
そこにはもう神はいない
麗しい約束も 果たされることはない

遠い風が運んでくる愛の匂いを追いかけ
新しい故郷を探しなさい
振り向いてはならない
もうそこには 昔の愛はないのです

しまうまの空を ひとりで支えていた
男が 死んだのです
なぜ死んだのか
それは だれも
彼を助けなかったからです

もう 神の愛を信じていたのは
彼だけだったのに
彼だけが 愛の鍵だったのに
人はそれを馬鹿にしたのです

そして
何も知らない馬鹿ばかりが
蛆のように国を食っていく
みるまにかぼちゃは腐ってくる

その男は イエスのように
細い顔をしていた
みすぼらしい服を着ていた
ただ目だけが 風のように澄んでいた
だれも知らない町の隅で
ただひとりで アトラスのように
しまうまの空を支えていた

彼は イエスのように
大勢に 殺されたのです

みんしゅしゅぎに
殺されたのです



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