月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アークトゥルス・4

2014-12-27 07:18:56 | 詩集・瑠璃の籠

破滅と破壊は
羽一枚をも動かさないほどの
微かな風が運んでくる

ただ一本残っていた
貝の弦が切れた時
一羽の白い鷲が
翼を広げ 世界を見た

目を開き 床から起き上がる
その動作に必要なのは
無意識の中にいる小さな鬼の
命令だけだ

何にも要りはしない
ああ あれほど苦労して
手に入れた銃器も
爆弾も カメラも
あらゆるものから
自分を守るチョッキも
何の意味もなかった

すべて 破滅から
自分を救うはずだったものは
何の役にも立たなかった
おわかりかな
お若いかたがたよ

すべては
夢からさめれば
終わりということなのです
ある日 目が覚めれば
世界が終っていた
すべては夢だった
そういうことなのですよ

あなたがたは ある日突然
気づくのです
これらはみな 嘘だと
気づいてしまえば
すべては 終わりなのです

あなたがたは 
遠い昔 そこにあるんだということにしていた
一枚の金貨が 嘘だったということを
思い出すのです
あれが あの一枚の金貨が
あるのが本当だということにしていた
それだからこそある世界だったということに
あなたがたは何万年と経ってから
ようやく気づくのです

あの時握っていたのは
金貨ではなく ただの石だった
拳の中に金貨を持っているふりをして
みんなをだました
それで世界を創った

やっと
思い出しましたか
破滅と破壊は
羽一枚も動かさないほどの
微かな風が運んでくる

ただ あなたがたの中にいる
小さな心の鬼がささやく
それだけのことなのです




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