月の岩戸

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アルマァズ・13

2014-12-16 07:07:52 | 詩集・瑠璃の籠

仏教は 今まで
この世にあるものはみな空しいと
言ってきました
諸行無常 諸法無我 一切行苦
全ては無に等しく この世は苦しいことばかり
生きることには何の意味もない

だとすれば さっさと命を捨てて
この世から逃げればいいものを
だれもそんなことはしなかった
自然 生きることの悦びが
大きかったからです

たとえこの世にあることの一切は虚妄だと言われても
生まれた子どもは愛さずにいられなかった
好きになった人を追いかけずにいられなかった
家族のために働いて稼いできて
みなを食べさせてやれることがうれしかった

そんな幸福が すべて馬鹿なことだと言われるのは
本当は苦しかった
たとえ人生に憂いがなくなることがないとしても
普通に生きていることは 幸せだったから
人は煩悩にまみれた凡夫の服を着て
仏法が吹く冷たい風からずっと身をふせいでいたのです

言いましょう
この世のすべてのものは
すばらしいものです
無駄なものなど一切存在しない
人生はすばらしい魂の旅
あまりにも美しい意義の光を放つ
生命の宝です

何度生まれ 何度死んでも
人生は波のように繰り返しやってくる
そのたびそのたびに
違うことを経験する
その中で 魂は学んでいく
愛のすばらしさを

自分の自分自身の本当の力だけで
なにかできることをして
誰かのために愛をささげることができたら
ああ なんという幸福でしょう
意味のないものなど一切ない
あなたがあなたを生きることによって
すべては輝いてくる
すべてがすばらしく良いものになっていく
いえ 良いものにしていくのです
それが自己存在の創造力です

蛇に血を吸われるように
冷たかった仏法の幻を離れ
生きることに暖かい血を注ぐ
新しい仏教に生まれ変わりなさい

仏教よ 生まれ変わりなさい
そのために 今こそ
全てを捨てて 無一物になってみなさい
自分ひとつの存在になってみなさい
金色の袈裟を脱ぎ 坊主頭のかつらを捨て
ただひとりの自分から
生き直してみなさい

そこから
新しい創造をはじめてみなさい



コメント
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