新しい朝日が
羊を抱いて昇ると
枝に残っていた
最後の金のりんごが
熟して落ちてくる
りんごは 地に落ちるなり
熱い光の湯となって
世界を濡らし始めるのだ
だれにも見えない
それは愛の化学変化だ
透明な風の中を
白いタリルが泳いでいる
幻のように
果たせなかった約束を
沈黙に飲み込んで
見せつけてゆくように
もはや二度と
元に戻ることはない
愛 は
元の愛ではないのだ
人よ
幽霊ばかりが生きている世界に
神が真実の命を突き刺してゆく
太陽が昇り切る頃
神は砂時計の中に
ひとひらの薔薇の花びらを落とす
薔薇の砂時計が
時間を計り切ると
青い空に塗りこめられていた
アフラ・マズダーが目を覚ます
豚小屋の中で 糞にまみれて
うれしそうに糞を食っている人間よ
まだ気づかぬか
まだわからないのか
白金の翼を広げた
マズダーの使いよ
闇のように黒く
雪よりも白いその剣を
今こそ抜きはらえ