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この平穏退屈な日々にもそれなりに感動って在るもの。

ベルジャー

2012-01-05 07:41:16 | 私の読書日記
何年か前、“シルヴィア”って映画を見て。グウィネス パルトロウ主演で詩人シルヴィア プラスのことを描いた映画。32歳くらいの若さで自殺してしまうんだけど、その最後がオーブンに頭を突っ込んで死ぬラストシーンがものすごく衝撃だった。なんていうかあまり馴染みがない分、悲痛な覚悟を見せられた気がして。

今回読んだのは、そんなシルヴィア プラスが残した唯一の自伝的長編小説“ベルジャー”
タイトルは、“ガラスの覆い”って意味みたい。
20歳前後の主人公が自殺未遂後、精神病院で療養し、再び元の世界に戻るまでが書かれてるんだけど、途中がとっても重くて、これは本当に正真正銘気がおかしくなってる人が書いた本だと思って読み進めているうち、ふと明るみに出て、それはちょうど退院するってところなの。だから、ああ、これはまるで、危うい状態から始まって、やがて精神を壊し、回復するまでを読者にも疑似体験させる本だと思った。本の中では、そこから明るい兆しが見られなくもないのに、結局その10年後くらいにやっぱりまた自ら死を選んでしまったんだと思うと、スゴク悲しいと思った。それに幼い子供二人を残してまで。

訳者の話では、アメリカでこの本、教科書の教材としても使われたり、女の子版“ライ麦畑でつかまえて”なんだってね。

なんか、とにかく息が苦しくなるくらい、ストイックでアイロニックな文章、最後の訳者の話もぜひ読んで。すごく理解ある訳者でよかったと、シルヴィアの代わりにほっとしたりして。同時に“おやすみおやすみ”って絵本も借りたんだけど、すてきな絵と、シルヴィアの空想がこんなにも夢のある人なのに、ナゼ??と余計に悲しいやら、でもとてもステキな絵本でお薦めです。

時間があったら、もう一度映画も見直してみたいなと思う。