久しぶりに宮本輝を読んだ。
前回読んだのは確か『骸骨ビルの庭』って本じゃなかったかな、あの本も印象深くて、
特に登場人物が言ったセリフが心に染みて、ノートに書き写したのをブログでも書いた記憶があるけど、時々そのセリフは読み返します。
今回読んだのは、『田園発 港行き自転車』
カバーをつけて読んでたので、タイトルは読み終わって今やっと、そんなタイトルだったのね、と。
舞台は、主に富山、そして京都の花街。東京もほんの少し。
登場人物も舞台によって、違うのに、それが不思議にゆらりと繋がって。
いろんな人が登場するので、ここで簡単に説明しようとするのも難しいのですが、
15年ほど前に、宮崎に出張中だったはずの父親がなぜか富山の滑川駅改札で突然死してしまう。それを15年経って、ひょんな事から、娘の真帆(絵本作家)がその謎に近づこうと初めて富山を旅することから始まります。それも旧北陸街道を自転車(BHとビアンキ)で。
真帆は子供の頃、ゴッホの星月夜に魅せられて、生前父からゴッホの星月夜そっくりな景色を富山の愛本橋から天気が良ければ、見れるらしいことを聞いていた。
また話の中では既に他界している京都の花街で伝説の芸妓だったふみ弥や、東京に就職するも東京に耐えきれず、富山に帰る20歳そこそこの千春やその従兄弟の佑樹。京都でお茶屋風バー小松を経営する雪子に、一度は事業に失敗しながらも這い上がってきたしげおちゃん。その恋人タミー。富山の景色。入善、滑川、富山湾、黒部川、田園、そして登場人物たちが話す方言。
それから私は食べ物や飲み物(特にお酒)の美味しそうな描写に弱いんだけど、今回も京都のお茶屋風バー小松の二階から取ってくるぬか漬けや、ビストロバー ルーシェのシーザーサラダ、「お前のギムレットうまいんだ」と言って注文するギムレット。(ビストロバー ルーシェで登場)
とにかく、私はこれを読んで、絶対絶対、富山に行ってみたいと思った。
これを読んで、そう思わない人はいないだろう、そして花街の世界を本の中でも垣間見えたのが楽しかった。それに、自転車。これ読むと欲しくなるね〜
ああ、読んでない人には何のこっちゃわけわからない文章になってしまって申し訳ない。
ただ、子供に大きくなったら宮本輝の小説を一つ残らずみんな読ませたい。
本物の小説家だと今回もまた深く尊敬の念をあらたにさせられた。