前作に引き続き、今作もとても良かった、なんて感想では、この作品を陳腐にしてしまう。通勤電車の中で、お昼休みのお弁当の後で、全部の章が胸に迫った。
この聡明な息子くんの瞳を通して垣間見た現代イギリスの中学校生活は、毎日が静かにドラマチックだ。これは、この息子くんとその声に耳を傾けるブレイディさん、そして大黒柱の父ちゃんなくしては時に見過ごされてしまうかもしれない物語だ。
どの話も珠玉なのだけど、日本に息子と共に里帰りするエピソードが特にいい。ブレイディさんの母親(息子くんにとっておばあちゃん)を静かに見つめる彼の言葉と祖父が交わす手紙には特に胸が熱くなった。
今作ではブレイディ家にもより思春期が忍び寄り、我が家では息子の思春期が去ったと思ったら、娘の思春期がやってきて・・
ブレイディ家の明日をまだまだこれからも引き続き見せてほしいと続きに期待するばかりだ。