五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

山元町の八重垣神社例祭

2013年02月07日 | 第2章 五感と体感
山元町の祭といえば、八重垣神社の例祭です。

建立は804年と記されており、およそ5百年前の旧暦6月15日に再建された社を祝い行った祭を例祭として続けてきたそうです。

今回の勉強会では(2月3日のブログに書きました)二十四節気から湧き出す想いや土地の風習を皆様と語り合いました。その時に話題に出たのがこの例祭です。

山元町と言えば今はいちごが名産ですが、昔はブドウ畑が一面にあり、スイカ畑も広がっていたそうです。

八重垣神社の例祭では近隣から蓆(むしろ)を持って若者が集まり、浜辺で夜通し楽しむことが習わしとなっていて、そこでの出会いがきっかけで結婚する人も多かったそうです。
近隣の町や村からやってくる人々の交流の場としても大事な役割を担っていたわけです。

しかし、周辺のすいか畑を荒らす人が増えたことで昭和20年代から数十年間、この祭が秋祭りへと移行されましたが、車社会となったことを理由に、また夏祭りへと戻ったそうです。

八重垣神社を遊び場にして育った能面打ちを趣味にしているSさんが、私を車で案内してくださり、全て流された境内にぽつんと設置された寄贈の小さな社を前に、津波以前の様子を語ってくださいました。

「立派な松がいっぱいあって、ここには親戚が経営する御茶屋があってね。この道には住宅が普通に建っていたんですよ。」とおっしゃるSさんの目には、以前の風景がそのまま映し出されているようでした。

海の幸、山の幸が豊かな土地で、土地の神様が大事にされ、祀ることから生まれ育まれた風習は、土地の様子が変わってもその土地に生まれ育った人々の身体をしっかりと創造していることを、強く強く感じることができました。

土地と共に生きる人の生きることそのこと自体が、土地に根付いたあらゆることを継承していくのだと、しみじみ感じ取ることもできました。

その土地で生まれ育った人々や、その土地に長年住んでいる人々が生きて暮らすことが、復興の大切な要であり、そのアイデンティティを大事にしていくことが、新しく造られる諸々に魂を宿していくのかもしれないと、思いました。

「創造する」ということは、そういうことなのだ、ということも、今回の訪問で私が学んだことの一つでもあります。

(今日のブログは「やまもと民話の会:巨大津波」87ページ、八重垣神社の宮司さんの文章も参考に書かせていただきました。)


告知:
「江戸表具を愛する会」本日から地下鉄銀座線「銀座駅」近くの地下通路で開催中。

銀座三越の地下から東銀座にかけての地下通路のショーウィンドーです。
作家の常駐はありません。作品のみの展示です。

期間:2013年1月13日から2月9日まで、銀座プロムナードギャラリー

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