昨年2022年にその活躍が顕著だった選手を5名選んでみました。今回は日本国外の選手5名を軽い階級から順に紹介していきます。
前WBCスーパーフライ級王者ジェシー ロドリゲス(米)/ 2022年の年間成績 3勝(1KO)
*元々将来の世界王者候補生の一人として、前評判の高かったロドリゲス。その名前を「世界ボクシングパーフェクトガイド」のライトフライ級とフライ級の項目で確認する事が出来ます。しかもそこでは、「サウスポー版(左構え)のリカルド ロペス(メキシコ)」と紹介されています!
2月にファン フランシスコ エストラーダ(メキシコ)が、カルロス クアドラス(メキシコ)と空位だったWBCスーパーフライ級王座を賭け再戦を行う予定でした。しかしエストラーダが出場できなくなったため、ロドリゲスが代役としてクアドラスと対戦。判定勝利で空位の王座を獲得しています。
6月には元王者のシーサケット ソー ルンビサイ(タイ)に予想外のワンサイドマッチの末TKO勝利。9月には4度目の世界挑戦となったイスラエル ゴンザレス(メキシコ)をも飲み込んでしまいました。年間を通し大活躍だったロドリゲスは、あっさりとスーパーフライ級王座を返上。次戦では本来のフライ級に戻り、WBO王座決定戦に出場を予定しています。
(「サウスポー版のリカルド ロペス」とまで言われるロドリゲス。まずはフライ級での逆2階級制覇に期待が寄せられます。)
WBAスーパーフェザー級王者エクトール ガルシア(ドミニカ)/ 2勝(2判定勝利)
*当初の予定では、昨年2月末に当時のWBA王者だったロジャー グティエレス(ベネズエラ)と、前暫定王者クリス コルバート(米)が事実上のWBA内王座統一戦を行う筈でした。しかしグティエレスがコロナウィルスに感染してしまい、2月に試合が行えない事に。代わってガルシアが、コルバートとグティエレスへの挑戦権を賭け対戦。この代役が予想外の大差判定勝利を収めてしまい、スター候補生だったコルバートに初黒星を与えると同時に、世界戦出場の切符も手に入れました。
迎えた8月、ベネズエラ人を堂々の判定で破り世界王座奪取に成功。近年稀に見るシンデレラボーイの誕生となりました。そしてその勢いで、先日7日のジャルボンテ デービス(米)の対戦相手の抜擢にまで至りました。2022年に関して見れば、ガルシアの選出は非常に的を得たものと言えるでしょう。
(2022年のシンデレラボーイの成功は、いつまで続くのでしょうか?)
4団体統一ライト級王者デビン ヘイニー(米)/ 2勝(KO勝利ゼロ)
*6月に敵地豪州に乗り込み、3つの王座を保持していたジョージ カンボソス(豪)を破り4冠統一に成功。4ヶ月後の直再戦では、初戦より明白な判定で豪州人を返り討ち。2020年、2021年に続いて昨年も、着実に実力、知名度の向上を果たしました。
早ければ次戦で、あのワシル ロマチェンコ(ウクライナ)との対決が予定されています。現在の両雄の実力差はほぼ無いと見ていいでしょう。
(ホップ、ステップと順調に成し遂げてきたヘイニー。今年はどれだけジャンプ出来るのでしょうか?)
WBAライトヘビー級王者ドミトリー ビボル(キルギスタン/露)/ 2勝(KO勝利ゼロ)
*5月にスーパースターの地位を確立していたサウル アルバレス(メキシコ)に、僅差ながらも明白な判定勝利。11月には中東のリングで、44戦全勝(31KO)の戦績を持った元WBOスーパーミドル級王者で、長らく指名挑戦権を保持していたヒルベルト ラミレス(メキシコ)に快勝。絶対王者の地位を築き上げました。このビボルが2022年のMVPと言っていいでしょう。
カネロ(アルバレスのニックネーム。スペイン語でシナモンという意味)との再戦もあるようですが、その一戦はスーパーミドル級に下げずに、ビボルの主戦場であるライトヘビー級で行って貰いたいものです。
(ようやく実力に合う評価を勝ち得たビボル。今後の活躍にも十分期待が持てる選手です。)
WBOヘビー級暫定王者ジョー ジョイス(英)/ 2勝(2KO)。世界戦は1勝
*元WBO王者ジョセフ パーカー(ニュージーランド)に初のKO負けを与えたことを評価。また、すでにWBAレギュラー王者ダニエル デュボア(英)もKOしています。
ガッチリとした198センチという体格の持ち主で、アンソニー ジョシュア(英)やタイソン ヒューリー(英)にも体負けしないでしょう。少々動きが鈍いですが、基本に忠実なボクシングを展開。案外、この選手が最終的には生き残るかもしれません。
(アマチュアでは銀メダリストの座に甘んじたジョイス。まずは「暫定」の名称の返上が目標でしょう。)
昨年、2021年編で選出した選手は、前WBCバンタム級王者ノニト ドネア(比)、元統一ライト級王者ワシル ロマチェンコ(ウクライナ)、前3団体統一ライト級王者ジョージ カンボソス(豪)、4団体統一スーパーミドル級王者サウル アルバレス(メキシコ)、そして3団体ヘビー級王者オレクサンデル ウシク(ウクライナ)でした。
今回選出した5選手は、比較的地味な存在ながら実力を備えた選手たち。加えて今後の活躍も期待できる顔ぶれです。来年も何名かはここに名前を連ねるのではないでしょうか。