先週6日・金曜日、エディオンアリーナ大阪で行われた試合結果です。
IBFミニマム級戦:
王者ダニエル バジャダレス(メキシコ)無効試合3回2分48秒 挑戦者重岡 銀次郎(ワタナベ)
*2023年に行われた初の世界戦は、何とも後味の悪い試合結果となってしまいました。
試合はサウスポー(左構え)の挑戦者が上下にパンチを打ち分けるなど積極的に攻め、王座奪取を期待できる形で進行していきます。王者はサウスポーがそれほど得意ではないのでしょうか、バランスを崩す場面が何度かありました。
試合が盛り上がり始めた3回終了間際、バジャダレスの後頭部と、銀次郎の顎が衝突するアクシデントが発生してしまいます。ダメージを訴えるメキシカンにドクターチェックが入り、試合はしばし中断。あろうことか、どちらの選手も傷を負ってもいないのにレフィリーは試合を止めてしまいました。最初は負傷引き分けといい裁定が下されましたが、その後、無判定/無効試合という結果に変更されました。
こんな事で良いのでしょうかね?ちょうど一ヵ月前の2022年12月3日、韓国で行われたスーパーバンタム級の無冠戦10回戦、ジョンリエル カシメロ(比)と赤穂 亮(横浜光)で似たような状況がありました。その試合は当初はレフィリーの不手際から無効試合という結果が出されました。しかし後日、カシメロのKO勝利に変更となっています。
韓国の試合は無冠戦で、今回の試合は世界戦。無効試合が銀次郎のKO勝利に変更するとは、無い事は無いでしょうが難しいでしょう。銀次郎陣営はIBFに対し正式に再戦を要請し、バジャダレス陣営も再戦に応じる考えがあるようです。しかしまあ、あの程度で試合を放棄するとは。バジャダレスはよくもまあ世界王者に就くと事が出来たものです。バジャダレスもそうですが、この試合を務めたレフィリーには、何らかの処罰が科せられるべきでしょう。選手が痛みを訴えるたびに試合を止めていたらボクシングの試合が成立しません。
今回の興行を手掛けた亀田 興毅プロモーターは、IBFから許可が下りれば4月にも東京で両選手による再戦を実現させたいとの事。その試合が実現すれば新王者誕生の公算大と見ます。そしてその新王者は夏に初防衛戦を行い、年末に2度目の防衛戦を行うという流れになると予想/希望します。
下記はこの試合が行われた時点での、ミニマム王者たちの顔ぶれです。
WBA(スーパー):ノックアウト CP フレッシュマート(タイ/防衛回数15)
WBA(レギュラー):エリック ロサ(ドミニカ/1)
WBC:パヤン プラダブスリ(タイ/3)
IBF:ダニエル バジャダレス(メキシコ/1)
WBO:谷口 将隆(ワタナベ/1)
OPBF(東洋太平洋):空位
WBOアジア太平洋:小林 豪己(真正/0)
日本:重岡 優大(ワタナベ/0)
*一応パジャダレスに防衛1を加えました。しかしこれまで、無効試合という試合結果は曖昧のまま取り扱われてきました。1993年6月19日に行われたIBFバンタム級戦で、オーランド カニザレス(米)はデリク ホワイトボーイ(南ア)を迎え12度目の防衛戦を行いました。試合は3回、両者の頭部が激突しカニザレスが左目上/眉の下を深くカットしてしまいドクターストップに。IBFのルールでは、何らかのアクシデントが発生した場合、6回以降の場合負傷判定となります。この試合は3回途中でレフィリー/ドクターストップが入ったため、無効試合に。しかしこの試合も、カニザレスが築き上げた16連続防衛というバンタム級史上最多防衛記録の一部として記録されています。
1998年8月28日に行われたIBFミドル級戦では、バーナード ホプキンス(米)がロバート アレン(米)を迎え8度目の防衛戦を行いました。初回から荒れた試合は4回、両者のクリンチをほどこうとした主審ミルズ レーン氏に押される形でホプキンスがリング外に転落し、足をくじいてしまいました。ホプキンスが試合継続不能となったため、この試合は4回無効試合という結果に。両者は翌年2月に再戦を行い、ホプキンスが9回でライバルを退けています。情報元によってはこの試合をホプキンスの防衛記録と数えたり、又は数えなかったりとまちまち。そのたま、ホプキンスがミドル級で築き上げた連続防衛記録は19であったり20であったりと統一性がありません。
偶然でしょうが今回の一戦を含め、3試合ともIBFの世界戦で事故が起こっています。何はともあれIBFミニマム級の再戦が春先に行われることを願いましょう。