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脱原発への道 参議院行政監視委員会

2011年05月24日 | 社会
5月23日参議院行政監視委員会に小出裕章さんはじめ、脱原発派の精鋭4人が招集された。
NHKでは放映されなかった。

参議院USTREAM中継


3時間以上に渡る委員会であった。
政治家に向かって真摯に話す4人の姿には感動した。
今まで小出さんの講演やインタビューをあさるように見てきた。
また少しでも真実に近い状況を把握したいと考え、彼の動向や言動に耳をすませてきた。
そのため、個人的には小出さんに対する感情移入が強い。
彼は、あるいは京都大学原子炉実験所の6人組なる彼らは、少なくとも反原発の立場で原子力の専門分野においてはかなり孤独な戦いをしてきたのだろうと思う。
これは多数決の問題である。
彼らは常に少数派に位置づけられ、疎ましい存在として捉えられてきたのだ。
多くの研究者は原子力推進派の旗を振り、無責任に原子力「安全神話」を唱えてきた。
小出さんは「アカデミズムの世界がまるごと原子力に加担してきた。」という。
そもそも大学における原子力の実験所、研究所というものはほとんどが原子力をつくるための場所であろう。
そうした中で、政治家に、電力会社に、他の研究者に裏切られ、それでも懸命に訴えてきた。

今回、彼と違う見地から原子力に断固反対する専門家がいたことを実感し、とても心強く感じた。
彼らも、政治家全般に対して少なからず不信感を持っているようだった。
神戸大学名誉教授石橋克彦さんは実際に毎日新聞から出そうとした記事が、上層部の検閲に引っかかりだめになったという。
以前他の講演で、田中優さんも同じような経験について語っていた。
「言論の自由」はどこへいってしまったのか。
いやそもそもそんなものは、原子力の世界にはなかったのかもしれない。
小出さんは情報の開示や政治体制などを取り上げ、「原子力の世界は異常」であるという。
何にしても、彼らが今回国会に足を運んでくれたことに感謝したい。

今回の参議院行政監視委員会の大いなる意義として、
まず政治家が今まで敬遠してきた反原発派の人たちを国会によんだということ、
そして各分野で反原発を唱える人たちが一つの場所に集まり同じ方向に向かって議論したこと、
またテレビ放映は叶わなかったがUstreamで生中継されたことにより、反原発派の意見に耳を傾ける政治家が中にはいるんだということを知れたこと、
の大きく3点が挙げられるように思う。
これは脱原発の希望にすがる一国民の主観的な意見かもしれない。

質疑応答に長い時間が当てられ、とても分かりやすく想像以上に建設的な議論が展開されたように思う。
政務官はなかなか厄介そうな男だったが…。
とにもかくにも、この委員会を無駄なものにはしてほしくない。
最後のほうで、藤原委員という方がこの委員会の議事録を行政に提出するよう委員長に提案していた。
ここでの話が前向きに検討されることに期待する。

中盤で公明党の議員から事故調査委員会の話が出たが、その構成員に関して石橋さんが、海外から呼ぶ前に日本の人材を最大限に活用すべきであるといっていたのが印象的であった。
隣には小出さんや後藤さん、また民間企業の立場で孫さんが座っている。
石橋さんは熱意溢れる日本人の専門家がいることを強く主張し、彼らのような人材が無視されることに怒り浸透だと熱く語った。
まさにその通りである。
まず、熱心な日本の専門家に耳を傾けるべきである。
そのためにも、電力会社を巨大スポンサーに抱えたメディア業界はその束縛から脱却し、本来あるべきメディアの機能を回復していかなければならない。

問題は山積みである。
まず「今、何が起こっているのか」を見極め、「これからどうするべきか」という課題を明確に提示していかなければならない。
最後に委員長が今回の議論におけるキーワードをまとめたのでそれを記す。

小出裕章さん
・今は福島の事故をおさめるべきであり、責任追及はそのあと
・安全保安委員は安全の確保が責務であって、原発を推進するものであってはならない
後藤政志さん
・安全性を保つためには利害が絡んではいけない
・現場の分かる人間の活用
石橋克彦さん
・日本において原発は常に地震付き原発であるということを理解しなければならない
孫正義さん
・原発優先主義から自然エネルギー優先主義への移行、いまがその大きな機会
・批判する人間も大事にすべき

少しでも多くの人にこの委員会の様子を見てもらいたい。
今回委員会に出席された4人をはじめとする専門家など発信能力の優れた方々を筆頭に、自分自身も反原発を訴える一助になればと思う。
コメント
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