フルマラソンと10キロの部を合わせて約3万人が参加した東京マラソンは18日、東京都庁前から東京ビッグサイトまでのコースで行われ、今夏の世界選手権(大阪)のマラソン代表選考会を兼ねた男子は佐藤智之(旭化成)が2時間11分22秒で日本人最高の2位となった。ケニア出身のダニエル・ジェンガ(ヤクルト)が2時間9分45秒で優勝した。
レースはジェンガが25キロすぎで抜け出し独走した。佐藤は代表に決まる2時間9分30秒は切れなかったが、36キロ付近の上りで3位の入船敏(カネボウ)を引き離してゴールし、代表入りに可能性を残した。アテネ五輪5位の油谷繁(中国電力)は32キロ付近で棄権した。
女子はマラソン初挑戦の18歳、新谷仁美(豊田自動織機)が2時間31分1秒で優勝し、引退レースだった40歳の有森裕子(リクルートAC)は2時間52分45秒で5位だった。
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アジア最大規模のマラソン大会の初代王者はダニエル・ジェンガ選手が優勝という結果に終わりました。レースは雨の中で行われ、世界歴代2位の記録を誇るサミー・コリルが16キロ手前で脱落し途中棄権するという波乱の展開に。もう1人の優勝候補、油谷繁は25キロすぎに脱落。実は油谷選手、レース前に太もも内側の筋肉を痛めていたらしく、さらにレース中、股関節やふくらはぎを痛めてしまったそうです。初マラソンの徳本一善選手は終盤失速し5位という結果に終わりました。
優勝したジェンガ選手はインタビューで「2004年は東京国際で優勝してもアテネ五輪のケニア代表になれなかったのだから、優勝しなければ絶対に駄目だと思った」と涙ながらに語っていました。15歳で来日し、仙台育英高校時代に3年連続区間賞の偉業を達成。以後15年間、日本で競技生活を送っていました。3年前の東京で優勝しても五輪に出られないのは、ケニアの選手層の厚さを証明しています。ケニアで代表になれないなら、欧米・アジアの国に帰化して代表になろうという選手もいるのが現状となっています。大阪世界陸上ではケニア代表として出場し、第2の母国で走れることを願ってやみません。もし、選ばれたら応援しようと思います。
女子では18歳の新谷仁美が初マラソン初優勝。18歳での優勝は、日本人最年少ではないでしょうか?新谷選手は高校駅伝で3年連続1区区間賞を獲得。卒業後、豊田自動織機に入社、高橋尚子、有森裕子らを育てた小出義雄監督の下に弟子入りしました。同世代の小林祐梨子選手がいま陸上界で話題となっておりますが、新谷選手も北京オリンピックではマラソン代表になれるかもしれない存在なので、今後の2人の選手に期待しましょう。
有森選手のラストランは5位という成績に終わりました。レース中、後方ランナーとと接触して転倒するアクシデントに見舞われたものの、無事完走。今後は自らが代表を務めるNPO法人の援助活動や、アスリートのマネジメント、国連親善大使などに力を注ぐそうです。また、有森選手同様東京マラソンで現役ラストランとなった市橋有里選手は3時間2分48秒でフィニッシュ。市橋選手1999年のセビリア世界陸上で銀メダル、2000年のシドニー五輪に出場しました。
記念すべき第1回の東京マラソンは参加者は計3万870人で、2万9852人が完走。沿道には178万人が声援を上げ、大混乱もなく無事に終了しました。何よりも恐れていたのは、最近都内で発生している暴力団同士の抗争でした。
一方で心配なニュースも飛び込んできました。59歳の男性が40キロ地点の前で突然倒れ、心肺停止で意識不明の重体となりました。記念すべき日に死者が出てほしくないのですが…。今後は男女一本化の方針もあるので、来年以降も楽しみです。出場したランナーの皆さん、本当にお疲れ様でした!