甲子園球場で行われている第91回全国高校野球選手権大会は、12日に大会3日目を迎えました。3日目は大会屈指の左腕である花巻東(岩手)のエース・菊池雄星投手が登場。準優勝だった春のセンバツでブレイクを果たし、今年秋のドラフトの注目選手として挙げられている菊池投手が甲子園に凱旋。花巻東の初戦は、長崎代表の長崎日大。チームにとっては長崎勢は因縁の相手、センバツのリベンジを果たしたいところでしたが…。
菊池は初回、長崎日大の1番・島袋翔輝にヒットを浴び、犠打で1死2塁とピンチを背負いますが、後続を内野ゴロに打ち取って無失点で切り抜けます。2回は直球で打者を詰まらせ、3塁ゴロ、投手ゴロと簡単に2死とした後に思わぬ落とし穴が。6番・山田慎之介に対しての3球目のスライダーを捕らえられ、高く舞い上がった打球は浜風に乗ってレフトスタンドに飛び込んで行った。山田の先制アーチで序盤で1点を失ってしまいます。
3回にこの日初めての3者凡退に抑えた事で立ち直りの兆しが見え、5回まで打たせて取るピッチングで1失点に抑え続けます。
菊池を援護したい花巻東打線は、長崎日大先発・大瀬良大地の前に2回、4回、5回にヒットが出るが、なかなかチャンスが作れなくて同点にすることができません。
6回、菊池は2死から死球を許すと、続く長崎4番・本多晃希への初球を狙われ、レフトポール際への2ランを浴びてしまいます。ここまで2発を浴びて3失点。このまま菊池の夏が終わってしまうのか?3点を追いかける花巻東はその裏、四球とヒットで無死1,2塁、犠打で1死2,3塁と反撃のチャンスを迎え、4番・猿川拓朗の1塁ゴロの間に1点を返します。なおも2死3塁で5番・横倉怜武が右中間を破る2塁打で1点差に追い上げます。
菊池は7回、連打を浴びた後、1死2,3塁の場面で長崎9番・長門祐紀にスクイズを決められ4点目、再び2点差とされるが、その裏に先頭の7番・佐々木大樹のレフト前ヒット、菊池も内野安打で続き、1死2,3塁で1番・柏葉康貴のセンター前タイムリーで再び1点差とすると、続く2番・佐藤涼平の場面でダブルスチール、3塁走者・菊池が本盗を決めて同点に追いついた!
自らの足で同点にした菊池だが、その際にわき腹を痛めたのかベンチ裏で一旦治療。マウンドに戻って続投するが、8回の先頭打者・小柳正樹に低めの球を掬い上げられ、打球はまたもレフトスタンドに飛び込んて勝ち越しを許してしまった。これで3被弾目の菊池は、わき腹痛の影響なのか1死後に連打を浴びて2,3塁と追加点のピンチ。長崎日大は7回途中から2番手でマウンドに上がっている寺尾智貴がスクイズを狙うが、菊池の好処理で本塁封殺。
8回裏、花巻東は猿川のヒット、横倉の死球で無死1,2塁とすると、6番・千葉祐輔の犠打を長崎3番手・大瀬良がエラーして無死満塁!一打同点&逆転の場面で佐々木が初球をセンターに弾き返し、打球は前進守備のセンターの頭上を軽々と越えます。満塁のランナーが一気に生還してついに逆転、打った佐々木は2塁で止まる。この後1死3塁で山田のスクイズで1点を追加し、この回4点を奪う猛攻で8-5と逆転に成功しました。
逆転の援護を貰った菊池は、9回に2つの三振を奪って試合終了。3つの本塁打を浴びながらも9回完投、花巻東は苦しみながら長崎日大に勝利して2回戦進出です。
1回戦 2009/08/12(水) 長崎日大(長崎)-花巻東(岩手)
長崎日大 010 002 110 5
花巻東 000 002 24X 8
【投手】
(長)大瀬良、寺尾、大瀬良-本多晃
(花)菊池雄-千葉
【本塁打】
(長)山田1号ソロ(2回、菊池雄)、本多晃1号2ラン(6回、菊池雄)
小柳1号ソロ(8回、菊地雄)
夏の甲子園初登板となった菊池投手でしたが、9回を投げ切って完投勝利を飾りましたが、初戦のプレッシャーからなのか、長崎日大打線の前に3本の本塁打を浴びてしまいました。菊池投手曰く3被弾は人生で初めてだったそうです。この日は9回まで投げて9安打・5失点・5奪三振という内容。甲子園の恐さを改めて実感しただろう菊池投手、試合中にわき腹を痛めた事で今後に不安を残す形となるけど、次戦以降は怪物左腕の本領発揮なるか?
花巻東は5回まで大瀬良投手の前に散発の3安打でしたが、6回に2点を返した事で勢いに乗り、7回に柏葉選手のタイムリー&菊池投手の好走塁で一度は同点に追いつきます。8回に無死満塁で佐々木選手が走者一掃のタイムリーで逆転。6回以降は8安打でした。8回に決勝打を打った佐々木選手は2年生で、この日は4打数3安打3打点の大活躍。後輩がチームの初戦敗退の危機を救いました。
敗れた長崎日大は一発攻勢を見せるも、スクイズ失敗&その裏の大瀬良投手のバント処理をエラーといった2つのミスが原因で逆転を許しました。8回に勝ち越して菊池を攻め立てようとしたんですが、拙攻に終わったのが痛かったですね。
大会3日目は4試合行われました。その他3試合は次の通り
第1試合:関西学院(兵庫) 7-3 酒田南(山形)
70年ぶりの出場となる関西学院は、3回に山崎裕貴選手と黒木選手の2本のタイムリー2塁打で2点を先取。同点の6回には、2死2,3塁で山崎純意選手のレフト前タイムリーで2点を勝ち越し。この後8回に2点、9回に1点を追加し、酒田南先発・安井亮輔投手から7得点を奪って快勝しました。
第2試合:中京大中京(愛知) 5-1 龍谷大平安(京都)
25回目の中京大中京VS30回目の出場で現在の校名になってからは初めてとなる龍谷大平安の古豪対決は、2回に中京が1死3塁の場面で金山選手のタイムリーで先制すると、この後山中、河合、堂林のタイムリーが飛び出し、打者一巡の猛攻で5点を奪います。平安は3回に1死1,3塁で妻島選手の併殺崩れの間に1点を奪い返すだけ。中京先発・堂林投手が平安の反撃を抑えて完投勝利。古豪対決は中京大中京に軍配が上がって2回戦進出。
第3試合:横浜隼人(神奈川) 6-2 伊万里農林(佐賀)
初出場同士の対決となった第3試合は、1回に伊万里が1死満塁の大チャンスを迎えるも、隼人先発・今岡投手が踏ん張って先制を許さず。4回まで両チーム無得点でしたが、5回に隼人が無死1,2塁から細野選手のライト前タイムリーで1点を先取すると、続く菅野選手の2塁強襲のタイムリーで2点を追加し、この回3点を奪います。6回にも3点を奪い6-0とリードを拡げます。伊万里は6回裏、川原選手のタイムリーと田中選手の犠牲フライで2点を返し、9回に2死から連打を見せるも反撃はここまで。横浜隼人が伊万里農林を降して甲子園初勝利です。
13日の4日目は、第2試合に西東京代表・日大三高、第3試合には埼玉代表・聖望学園が登場します。関東勢はここまで3連敗でしたが、3日目に横浜隼人が関東勢初勝利を挙げました。同じ関東勢の日大三高、聖望も続いてほしい。聖望学園の初戦の相手は、宮崎代表の都城商業。埼玉代表に恥じないプレーで初戦を突破できる事を願っています。