第88回全国高校サッカー選手権大会も決勝戦を迎えました。成人の日の11日・国立競技場で行われた今年の決勝のカードは、山梨学院大付VS青森山田の組み合わせで、両チームとも初優勝を懸けて対戦。関大一高との死闘を制した青森山田は攻撃サッカーで青森勢初優勝、4試合連続無失点の堅守を誇る山梨学院は初出場初優勝を目指します。全国4175校の頂点を懸けた頂上決戦を制したのは一体どっちだ?
山梨学院のボールでキックオフした決勝、立ち上がりは山梨ペースで進み、4分に左サイドのパスを受けた宮本龍がシュートを狙うもGKがセーブ。8分、青森は左サイドでパスを繋ぎ、野間涼太がドリブルで持ち込んだ後にクロスを入れるも相手にクリアされます。山梨は10分、伊東拓弥のスルーパスから佐野敬祐が突破するが、シュートは青森GK・櫛引政敏が防ぐ。11分、左サイドでチャンスを作ると、碓井鉄平が強烈な右足シュート、ボールはゴールに吸い込まれて山梨学院が先制!勢いに乗る山梨はこの後も主導権を握り、18分には伊藤&鈴木峻太のワンツー→鈴木がペナルティエリア内に侵入も青森DF陣がカット。20分には相手ボールを奪って速攻を見せ、佐野がドリブルからエリア内に入った後に相手のブロックを受けるも伊東が奪いクロス、鈴木が飛び込むも合わず、こぼれ球に伊東狙うが枠に行かず。
追いかける青森は20分、柴崎岳のスルーパスを受けた野間が相手に囲まれてシュート打てず。24分に成田のシュート、左サイド中島龍基のクロスに野間が足を伸ばすもポスト左。28分、柴崎が中央からミドルシュートを放つが、うまくミートせず、ワンバウンドした後にGKがキャッチ。山梨は30分、鈴木のシュートが相手に当たった後、こぼれ球を伊東がシュートしたが、GK櫛引政が横っ飛びでキャッチ。ここで山梨学院に非常事態。井上拓臣が足を負傷、足首骨折の疑いで続行不可能となる。代わりに渡辺圭祐がピッチに入った。山梨は33分に碓井、青森は野間がシュートも決まらない。
42分、山田はロングボールから成田鷹晃が受けようとしたところ、山梨GK・松田ランのスライディングタックルを受けてファウル。(レッドカードじゃないんかい)FKを椎名伸志が直接狙ってきたが、僅かに枠をそれる。味方選手も飛び込んだんだけど、合わせられなかった。ロスタイムに成田がシュートもGKにキャッチされ前半終了。山梨1点リードで折り返しました。
後半立ち上がり、青森は柴崎と野間がシュートを放つも同点ならず。山梨は7分、藤巻謙が左サイドからミドルシュート、しかしボールはクロスバーに弾かれて2点目ならず。10分にはエリア前でFKを獲得し、碓井が狙うもGKがパンチングした後にキャッチ。12分、今度は青森がFK。椎名が蹴るも壁に直撃、逆に山梨がカウンターを仕掛け、鈴木がクロスを上げるもDFにクリアされた。20分、青森は左サイドのクロスに遠藤竜史が頭で合わせるも枠外、22分には野間のクロスに三田尚希が飛び込んで行くもハンドを取られた。1分後、山梨はカウンターから右サイドからのロングボールを受けた左サイド・佐野がヒールパス→碓井がシュートを放つが、GKがパンチでセーブ!
試合も残り20分を切り、青森は28分のCKを柴崎が蹴るもGKがパンチング、こぼれ球を野間が反転してシュートするが、GK松田が足でセーブ!どちらも次のゴールが入らない!山梨は32分、伊東のパス→鈴木が走り込んでシュートもGKが飛び出して押さえる。山田は37分、途中出場・櫛引信敏がシュートを放つも相手DFにクリアされる。同点に追い付きたい青森山田だが、山梨の堅い守りを破る事ができない。39分、山梨は右サイドの平塚がシュートを放つが、GKがパンチング。
ロスタイム直前、青森はロングボールから頭で繋ぎ、最後は野間がオーバーヘッドシュートを見せるもダメ。後半ロスタイム、山梨は加部未蘭が相手との競り合いを制し、シュートを放ったが、GKに押さえられてダメ押し点を奪えず。青森は猛反撃を見せるも、最後まで1点を奪えぬままタイムアップ。山梨学院大付が1点を守りきり初優勝を飾りました!
山梨学院大学付属高校が第88回全国高校サッカーを制し、見事初出場で初優勝を成し遂げました。初出場校の優勝は第65回の東海大一(静岡、現在の東海大翔洋)以来23大会ぶりの快挙、山梨県勢としては初めての優勝となります。大体の初出場校は早いうちに敗れるケースが多いんだけど、このチームの快進撃は最後まで止まりませんでした。決勝ではキャプテン・碓井選手のゴールで先制すると、その後も試合を優位に進め、青森山田の反撃を凌いで完封勝利。全5試合無失点で優勝したのは非常に価値があると思います。
横森巧監督は嘗て韮崎高校の監督を務め、1979年~83年度大会の5年連続でベスト4、うち3度決勝に進んだものの全て準優勝。これだけの実績を誇りながらも優勝まであと一歩届かないので「悲運の名将」と言われていたけど、4度目の正直で悲願の日本一になりました。苦しい時期を乗り越えての初優勝、横森監督の夢がようやく叶いましたね。来年も国立の舞台に立ち、「横森マジック」で連覇に導いてもらいたいものです。
敗れた青森山田は、序盤の失点が大きく響きました。戦前の予想では青森山田有利じゃないかと思ったんですが、山梨学院の壁を破る事はできませんでした。素質ある選手が多い「タレント軍団」でも日本一になれず。司令塔の柴崎選手は現在2年、来年も全国の舞台で活躍する事でしょう。その時は進化したプレーを見せてほしいですね。
今年は帝京・前橋育英・国見などの有力校が続々と敗退、新興勢力の台頭、そして山梨学院の初出場初優勝で幕を閉じました。5年連続で初優勝校が登場、まさに現代の高校サッカーは「戦国時代」を印象付けていますね。ここ数年は九州→近畿→東北→関東→中国→甲信越の学校が優勝、来年は北陸or四国or北海道のチームが優勝するかも?
山梨学院大付の優勝で、甲府市いや山梨県内は大盛り上がり、翌日は優勝パレードが行われる予定。そして選手たちや横森監督に山梨県民栄誉賞が送られるのでは?山梨県出身の中田英寿さんもひそかに喜んでいるはずです。選手の皆さん、全国制覇おめでとうございます!