どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

小津安二郎さんと岡田茉莉子さん

2018年04月05日 21時07分00秒 | 話題
朝日新聞朝刊に連載されている岡田さんのインタビュー

岡田さんは晩年の監督作「秋日和」と「秋刀魚の味」に出演されています。

記事の写真は「秋日和」で、実家がやっている寿司屋(それを伏せて)にオジサン三人組に一杯食わす爽快で面白いシーンです(^_^)

小津さんの岡田さん起用は非常に明確で判りやすく、可愛いけど、キリッとしていて一本スジの通った役どころ...でも格好つけない砕けた感じが笑いを誘うという楽しいキャラを任せているんです。

記事にもありますが、岡田さんの父である岡田時彦は戦前サイレント映画時代に主役を任された二枚目俳優。今風に言えば日本人離れの顔つきをしたイケメンです(^_^)

でも三枚目の気質もあると見抜いた小津さんは「淑女と髯」や「東京の合唱」などコミカルで、ちょっと情けない役を与えて、良い味を引き出しています。

その娘である岡田茉莉子さんに同じものを見いだしていたし、期待していた。おそらく遺作になってしまった「秋刀魚の味」以降も佐田啓二さんと共に出演の構想を練っていたんじゃないかなと...。

小津さんと岡田さん、この二人の出会いは非常に強い運命を感じさせられます。

この前回の記事で佐田啓二さんと中井貴一さんについても触れてますが、佐田さん急逝の折に妻・益子さんに「茉莉子さんと同じ境遇になりました」と言われたそうなんですが、本当に悲しい巡り合わせですよね...。

岡田さんのご主人である映画監督・吉田喜重さんは遺言のように「映画はドラマだ、アクシデントではない」という謎めいた言葉を受け取り、その後に「小津安二郎の反映画」という、この遺言をテーマにしたかのような著作を書かれています。ここで解かれている「反復とズレ」の考察の炙り出し、その後の小津映画や他の作品に対しての見方に豊かな要素を加えてもらえました(^_^)

話しは戻りますが、岡田さんの小津映画デビュー作である「秋日和」、それこそ反復とズレを伴う「晩春」の合わせ鏡のような作品ですが、ヒロイン・司葉子さんの親友役は、「晩春」でのアヤに相当する大きな役どころで、月丘夢路さんに勝るとも劣らない(ある意味で凌駕さえしている)演じっぷり(記事にもあるとおり、小津演出をモノにしていると実感できる!)は、凄味さえ感じさてくれます(^_^)

次回の記事あたりで原節子さんのことも語られるのかなぁ...楽しみです(^_^)