どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

「2001年宇宙の旅」に「晩春」を感じる

2018年10月28日 18時55分00秒 | 映画
小津さんがSF映画を撮ったなら「2001年宇宙の旅」みたいなの作ったんじゃないかって、改めて(^_^)

新聞記事の一文を見てハッと感じました。

「小津は『演技より構図が大事』と言ったほどの構図至上主義」、これって正しくキューブリックさんにも同様ですしね。

同記事には有名な鎌倉・鶴岡八幡宮のショットも。

「晩春」の一場面と同じ構図、狙ってますね〜(^_^)


...で先日「2001年〜」IMAX版を観てからなんですが、「晩春」をベースにしていないか?っていうくらい両作品は似ているところが多いなぁと。

まず背景の切り取り方...。


韻書的な場面において、左右対称・一点透視図法的な構図。


小津・キューブリック共に、この作品に限ったことではありませんが、特にキューブリックさんはこの作品を境に多用するように思えます。

次に人物の描写ですが、比較的正面からバストショットの多用、そして無表情に近い表情変化。


上の画像2枚はリラックスしている表情、


そしてこの2枚はかなりな興奮状態にあるのですが、両者ともに大きな変化をさせていません。

非常に禁欲的だし、役者に演劇的な喜怒哀楽表現の幅を極限まで小さくさせています。米国の作品でここまで抑えているのは非常に珍しいのではないでしょうか?

そして特に両作で一番近似していると感じたのはこの場面。

能舞台で居並ぶ謡いの人たちが、

同じブロックが並ぶディスカバリー号の形に見えてきますし...。


宇宙空間を静かに移動・回転するスペースポッドの挙動が能楽師の演技そのもの!


回転方向まで同じという(^_^)

「晩春」において能のシーンは、娘・紀子が、父・周吉に「男」を感じ、嫉妬と嫌悪でグチャグチャに心かき乱す場面ですし、「2001年〜」ではコンピュータ・HALが人間に対し反乱・殺人を犯すという大きなポイントそしても似てみえてしまいます。

さらにラストシーン...老いを強く描写し、うなだれる父・周吉、


「2001年〜」においても、


スターゲートを超え、行き着いた謎の部屋で臨終の時を迎えるボーマン...なんだか輪廻を表現しているかのようなラストシーンとしても似ている...。

以前から、小津・キューブリックの作風って似ているなぁと漠然と感じてはいましたが、IMAX版鑑賞で想いが強くなった次第。

でも意外と両者の関係を解く研究者や関連本を見たことはありません。世界的な映画作品ベストテンにおいても上位に名を連ねる方々なんですが、あまりに懸け離れていて盲点?(^_^;

個人的に面白い発見かも〜と、一人ニヤニヤしております(*^m^*)



10月27日(土)のつぶやき

2018年10月28日 06時00分28秒 | 日記