どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

10月15日(月)のつぶやき

2018年10月16日 06時03分36秒 | 事件・事故・災害

取材と検証...その度合いは作品の深みに

2018年10月15日 22時15分00秒 | 話題
本日の朝刊に片渕須直さんのインタビュー記事が。

ここで改めて言うまでもなく映画「この世界の片隅に」を監督された方ですが、つくづく「取材と検証」の大切さを再認識させられた作品だなぁと。

歴史的な考証などは通常アウトソーシング(悪くいえば人任せ(^_^;)される事も多いのですが、片渕さんは自ら異常(失礼!)とも感じさせられるほど、緻密な調査・研究をしていて、関連イベントなんかでその一部を見るだけで舌を巻くばかりで...(´д`)

たった映画一作のため...と言ったら失礼な話しなんですけれども、壁一面に据えられた本棚いっぱいを埋め尽くすほどの関連資料を収集する映画監督なんて...私の知る限り初めてです。

作業用?のノートPCなんかもフォルダがビッシリで、例えば街の区分けごとにこまかく細分化されて管理していたりもする...エクセル表にも年月日毎にある地域の天候状態や必要な施設の同行なども克明に整理されていて、絶句です...。

でも豊富な資料が多くあれば良いってものでもない。それは素材に過ぎず、それを作品にどう反映するかは監督のセンスです。

これは「この世界の片隅に」を観ると本当に絶妙に活かされていると感じさせられるんです。センスが良くないとただ衒学的になるばかりで、鑑賞者は置いてけぼりを食うばかりなんですが、一見しただけでは何も判らず、巧妙に仕込まれている...しかも気づかなくてもストーリー上はなんの支障もないというね(^_^)

よく小説・マンガ・映画作品などで語られることに、「99%の真実と1%のウソ」という言葉がありますが、歴史的事実を積み上げ徹底的に深掘りした上にホンのちょっとだけ創作したものを載せることで興味深くて面白い作品ができる...こうの史代さんの原作からしてそうなんですが、その積み上げで「すずさん」という人物に血が通い体温さえ感じるんだなぁと...。

ちょっと例えの方向性が違うんですが、黒澤作品における撮影用のセット、その小道具に決して開けることのないタンスの引き出しに着物が入っている...そんなようなものだと思うんですよね(^_^)

朝刊のインタビュー記事には、一例として呉空襲時の高角砲に識別可能な爆煙色の事が語られていますが、

これだってストーリー上なにも影響しない要素。でもそれを加えることによって、すずさんの絵心が喚起されることになるワケだし、鑑賞者にも様々な想いを巡らせる効果(そんな歴史的裏付けを知らず、ファンタジーなのかと思わせたって成立する...)があるシーンになっているんです。ここは本当に凄い表現だなぁと今でも思います。



10月14日(日)のつぶやき

2018年10月15日 05時59分24秒 | 事件・事故・災害

日日是好日、鑑賞

2018年10月14日 19時50分00秒 | 映画
若おかみは小学生!」に続けて、立川シネマシティ・gスタジオにて。

E列の中央ブロック一番右端と全く同じ座席、個人的にベストポジションです(^_^)

客層はやはり中高年層中心で、男女比は半々くらいかな。

どういうワケか?ハコの後ろ半分に密度が高い感じでした(^_^;

9月になくなった樹木希林さん、最晩年作の一つですが、テーマが茶道、主演が黒木瞳さんというキーワードが強烈に響き、これは絶対に映画館で観るべきだと(*^o^*)

監督・脚本は大森立嗣さん、麿赤兒さんの長男にして大森南朋さんのお兄さんなんですな。この方の作品は初めて観ましたが、過去作はハードで男臭いものばかりらしくて、今作はかなり異色作になるっぽいです。

まだ公開されたばかりの作品ですので、ネタバレは避けますが、期待していた通り小津さんの匂いがそこかしこからプンプンしてきて、愉悦の100分を過ごすことができましたよ(*´艸`*)

この手の特定業界・ジャンルに特化したモノって、下手すると説明臭くなっちゃうんだけど、ある程度ウンチクも入れないと面白みがないというバランスが難しい分野。

主人公の個人的な生活や人生もどれだけ織り込むか監督のサジ加減が試されますが、絶妙な感じでしつこくなくてとても良かったと思います。

20歳の大学生時代から中年女性へと達する四半世紀を描く長大な物語でしたが、淡々と薄味で処理されていて素晴らしい。

度が過ぎない程度に厳しく、どこか惚けている樹木希林さん演じる武田先生が絶品でしたねぇ(^_^)...うまいなぁやっぱりこの人...。

サウンド面でもハッとさせられる表現が多くて楽しめました。激しい雨、シトシト雨、激しい滝の音、川の流れ、杓子から碗に落とす湯と冷水の違い...等々いろんな水の音が耳を擽ってくれました(^_^)

以下、小津映画ファンとして嬉しかったり気になったりしたポイントをいくつか。

まず主人公が典子(のりこ)で、小津作品に多く登場する「紀子」を想起させるところですね。これはまぁ原作者が森下典子さんなので、そこからなのかもしれませんが、あえて「のりこ」としたのはオマージュが含まれていると感じられます。

茶室が主な舞台になるため障子に囲まれた和室がメインになりますが、所々で開いた障子を画面左右に...これって額縁のように見せる絵作りの一つですね。

武田先生の師匠である人物の額装写真が映し出されますが、もしかしたら「晩春」冒頭でお茶を点てるシーンがありますが...。

この先生役は紅澤葉子さんという女優らしいんですが、なんかこの方に似ているなぁと。

そして白眉は海岸で遊ぶ典子と従姉妹の美智子(多部未華子さん)の2ショット。

この映像を観た瞬間ウヒョ〜っと舞い上がりましたよ。

「麦秋」の紀子と兄嫁が海を長めながら静かに語り合うシチュエーションそのものを持ってきたなぁって(*^m^*)

樹木さんの円熟味も旨みタップリで、どこか小津作品に登場する杉村春子さんを思わせてくれて...観終わった後、本当に惜しい俳優をなくしてしまった事実に改めて愕然とする思いです...。

こんなところですが、まだ潜んでいるかもしれません。なんか自然と共生し共鳴する日本人の心...諦念や枯淡があって...また観たいなぁと思わせてくれる良作でした。



10月13日(土)のつぶやき

2018年10月14日 06時01分10秒 | 事件・事故・災害

若おかみは小学生!、鑑賞

2018年10月13日 19時50分00秒 | アニメ
ネットで高評価だし、なんだか非常に気になっちゃって...でも...どこか心理的な抵抗もあって、これまで何度も行こう...いや止めておこう...を繰り返して、やっと(^_^;

場所は立川シネマシティ・gスタジオ...。

客入りはこんな感じ。

最終的にはもう1〜2割増えていた気もします。

年齢層は小学生くらいの子供連れの親子から、私みたいな中高年まで老若男女まんべんなくという感じでした。

おっこちゃんもロビーでお出迎えです(^_^)


...で、ストーリーに触れずネタバレ無しでの感想になりますが、私の印象としてはまぁまぁって感じでしたね。

アニメーションとしてのクオリティーは一級品、スタジオジブリで作画監督や原画として腕を磨いてきた高坂希太郎さんによる監督作品で、冒頭お神楽舞いのシーンはじめ、「和」のシットリとした情景描写はどこを切り取っても大変美しいものになっています。

観客の反応、笑いも結構おきてましたし、クライマックスではすすり泣く音もアチコチから伝わってきました。

...でも、なぜだか自分には響くモノが薄かったように感じまして...(^_^;

これはもう理屈で云々いえることじゃないんですよね。見るタイミングや環境で印象が変わる作品なのかもしれません。

「君の名は。」の印象に近いのかも...一回目(映画館)二回目(テレビ)で違いましたので。

同様にテレビ画面のサイズで見るとまた違う印象なのかもしれません。

個人的に一番心に響いたのは、オデコにチュッとする場面ですね...どこで誰がと説明するとネタバレに繋がるので、ここまでとしておきます(^_^;

それとキャラデザインですが、大人の女性...特におっこちゃんのお母さんの顔つきが松本零士さんっぽい...メーテルを想起させるような感じで良いなぁと(*^o^*)

パンフは品切れ...残念!


自分的な琴線にはちょっと届きませんでしたが、鑑賞後感は爽やかなものを感じましたので、やはり観に行って良かったと思っています。一見の価値は多いにあり!(^_^)

実は同館で続けてもう一作品「日日是好日」を観ました。これも「和」を感じさせるものでしたが、感想は次回にて...。



10月12日(金)のつぶやき

2018年10月13日 05時59分29秒 | 事件・事故・災害

この世界の片隅に、公開700日目

2018年10月12日 19時15分00秒 | 映画
そして切りよく100週に!

失礼な言い方かもしれませんけど、この作品において、こんな踊る数字が見ることができる日がくるなんて想像すらできませんでした...未だ現実感を伴わないというか。

初めて片渕須直さんに会い、サインを頂いたあの日...確かに素晴らしい作品になるだろうとは思ったけど、こんなとんでもないロングランになってしまうとは...とてもとても(^_^;

当時は「この世界の片隅に」が一本の映画として公開されるという事だけで悦びを感じていましたしね...。

でも、自然に達成した数字ではないんですよね。奇跡でもない。片渕さん独自の活動と、それに呼応したファンの気持ちがプラスのスパイラルを生み出してここまでやってこれた事を実感せずにはいられないんです。

そして...この日を記念して?、公開された新たなシーン...。

すずさんとテルちゃんの出会い...雪で滑りやすい足元を...おぼつかない足取りで...泣かせようってシーンじゃないのに自然に涙がにじんでしまう...。

ますます微細な動きを示していて、そこにすずさんが本当に存在しているようで、実体というか立体感を感じてしまうほどです!

この動画を見ただけで鬼気迫るものを感じざるを得ない...恐らく...我々ファンも思いも付かない方向へ導かれてしまうのでしょう...。

その「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」公開まで二ヶ月ほど...片渕さん始め、関係スタッフの労苦は想像を絶するものがありますが、本当に楽しみにしているところです(*^o^*)



映画2作品を連続鑑賞で面白い発見が(^_^)

2018年10月11日 22時05分00秒 | 映画
今週BSプレミアムで小津・黒澤作品をいくつか放送していて、ついつい観てしまっているのですが、連続することによって気づいたことが。

10日(水)の「お茶漬けの味」前半で、木暮実千代さん演じる妻・妙子が、友人引き連れて修善寺へと繰り出すシーン。

向かう列車(東海道線)が鉄橋に差し掛かる...これ今まで何度も観てたんですけど、今回初めてその鉄橋の柱に「酒匂川」と書かれているのを認知しまして。

「酒匂川?...あ、これは!」と想起したのは前日9日(火)に放送された「天国と地獄」です。犯人からの脅迫電話で特急こだまに乗るよう指示され、誘拐された子供の確認と、身代金が入ったバッグを列車の窓から投下するシーン...まさにその地が酒匂川で!

両作品ともに車中からのショットが映されているので、比較すると同じ場所であることが見てわかります。

「お茶漬けの味」

「天国と地獄」


両作品の撮影時期は10年ほど離れていて、風景も細かい部分で違ってますが、同じような電柱や民家も確認できます。

面白いのが「天国と地獄」撮影エピソードの一つ、鉄橋の側に立つ二階建ての民家が絵的に邪魔だから、2階部分をそっくり撤去してしまった件。その前後が確認できちゃったという(*^o^*)

「お茶漬けの味」

「天国と地獄」


該当する民家を大きく切り出したもので、画角も微妙に違うため比較が難しい感じもありますが、奥にある河川敷の見え方を比べると、2階部分を撤去して、映像的にスッキリさせた形跡を感じ取ることができるかと...。

これは連続して観た事による効果で、個人的に大発見(*^o^*)

なるほど、その民家の先に子供と犯人が待機しているので、2階部分があると確かに対象が映像に入りにくいと思いますねぇ...。

ちなみにGoogle Earth で確認した現在の現場付近。

線路や鉄橋はあまり変化ないようですが、流石に半世紀以上も経ち、周りの風景は全く異なっております。

いや〜なかなか面白い発見で...こういうの偶然のなせる技ってヤツでしょうけど、NHKさん意識的に「酒匂川」繋がりで...とか...いやいや、それは無いっすよね(^_^;