私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

涼やかに夏の着物

2014年07月30日 | 着物の楽しみ

               「暑いでしょう?」 いきなり駅のホームで40代くらいの男性に声をかけられた。
               「ええ、暑いですねぇ」 とお答えした。

                 それにしても、この幼稚な言葉をどう理解したらいいのだろうか?
                 いったい、この男性は着物姿の私に何が言いたかったのか?

                 自分は半そでに短パン姿で涼しくて、私が妙に暑苦しく見えて可哀想に思ってくれたのか、、
                 単純にそれだけの理由なら「余計なお世話」である。

                 または、暑いのに「着物を着ていること」をからかいたかったのか?
                 暑くても、用あってきちんとスーツにネクタイ姿の男性に「暑いでしょう?」などと言うのか?

                 先だって、東京都議会でのセクハラやじが問題になった。
                 いい歳の男性が、大人になり切れていないと感じさせる出来事だった。
                 この「暑いでしょう?」の言葉が「暑いですね、それにしても涼やかなお姿ですね」とでも
                 なっていたなら、「素敵な男性!」と思って、後ろ姿をしばしうっとりと眺めたかも知れない。

               涼やかに着る
                 紗紬の着物
                  紗とは言っても、本当の紗ではなく、玉糸のより糸を用いた薄地の平織り物で
                  紬の風合いを持つ夏用の先染めの着物である。

                  新潟で織られた物で、大島紬風の絣柄が織り込まれている。
                  黒地で一見暑そうだが、布目から風が通り抜けて意外と涼しい。

                 紗の帯
                  白地に薄(すすき)と葛(くず)の涼し気な模様。
                  下側を紫色で染め、白地のぼんやり感を引き締めている。

                 変わり組紐
                  白と紫の糸で、縄を編むように編まれている。
                  見るからに涼感たっぷりの帯締めである。

              夏に着物を着る、ということは結構覚悟がいるものだ。
              しかし、いったん着てしまえば暑さもなんのその、かえって気持ちが引き締まって気分がよい。
              夏の着物は、しゃっきりと背筋を伸ばして、涼しい顔で着たいものである。

              世の男性方、ゆめゆめ「暑いでしょう!」などと言ってはいけません。

*では、また明日お会いしましょう。

              
         
                
コメント (2)
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