~ 踊子草 (おどりこそう) ~
山野草好きの友人から教えてもらってから、ずっと欲しかった踊子草。
昨年、念願叶って手に入れたものが、この度めでたく花を咲かせました。
* * *
シソ科の多年草
名の由来は、上唇を笠に、下唇を踊り子に見立てたことから。
くるりと取り巻いた花は、バレエで着用するフワフワのチュチュみたいで可愛いでしょ♪
この花は野原や道路脇など、どこにでも自生しているらしいですが、
私はそう言った所では見たことがなく、山野草展でさえ商品として
並んでいるのに出会ったことがなかったのです。
唯一見たのは、姫路城の東側の柵内でしたが、そこに忍び込んで
採集して来る勇気(?)は無くて、指を加えてただ見ていることしか出来なかったのです。
それでも、いつか出会える日が来たら、絶対手に入れようと思っていて、
それから30年!やっとその日がやって来たのでした。
* * *
昨年の5月に岡山に行った時のことです。
主人の父が、幼い頃を過ごしたと云うその場所を訪ねた時のことですが、
なんと言うことでしょう♪近くの空地に踊子草が群生していたのでした。
帰りに、せめて一株だけでも採集しようと思って、
用事を済ませてその場に戻ると、なんと!そこではおじいちゃんが、
その踊子草を鎌でザクザクと刈り取っているではありませんか!
そこで、急いで声をかけました。
* * *
「こんにちは、草刈りは大変ですねえ、、その花って踊子草って言うんですよね?」
「なんや知らんけど、こんなもんどんどん増えて困ってるんや」
「えーっ!そうなんですか?私、この踊子草が欲しくてずっと探してたんですよ、
二株くらい頂いてもいいですか?」
「そんなもんで良かったら、いくらでも持っていきよ」
* * *
30年も探していて、手に入れることが出来なかった踊子草、
こんな所で、雑草扱いで、刈り取られる寸前のところで出会うなんて、
なんと言う巡り合わせだったのだろう。
嬉しさいっぱいでお礼を言いつつ
硬い土を、そこらにあった棒でようやく掘って持ち帰り、
大事に、大事に、そっと鉢に植えました。
* * *
それから1年が経ち、二株のうちの1つは枯れ、残りの1つが葉を出し、
蕾をつけて、立派に咲いてくれました。
はびこって困るところでは邪魔者扱いですが、
私には大事な踊子草、この一株が枯れずに、
順調に根を張って、増えていきますよう祈るばかりです。