「海炭市叙景」、いい映画だったよねー。
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「書くことの重さ ~作家 佐藤泰志」62点★★★
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2010年に制作・公開されて
話題になった映画「海炭市叙景」。
その原作者であり、
5度も芥川賞候補になりながら落選。
1990年に自ら命を絶った小説家・佐藤泰志氏のドキュメンタリーです。
佐藤氏と同じ北海道出身の飯塚秀孝監督が、
佐藤氏を知る人々に取材し、再現ドラマを交えてその生涯を描いてます。
「海炭市~」は映画がすごくよくて、
小説を読みましたが
彼の作品のなにが、常に「あと一歩」だったのか。
彼の前に立ちはだかる壁とは何だったのか――を
見ながら考えてしまった。
まあ答えは明確にわかりませんが
芥川賞選考の再現シーンを見つつ、
また『週刊朝日』(10/11号)ツウの一見で
書評家の岡崎武志さんにお話を聞き、
やっぱりそうか!と思ったのは
「選考委員のさじ加減」が多分にあるということ(笑)
それに「賞」を取ったからといって
その後、必ず生き残れるわけじゃないですからね。
芥川賞候補になった佐藤氏を
取材した新聞記者たちの証言が出てくるんですが
みんな「よく覚えていませんが」といいながら
ポツリポツリ語る。
それは彼らが
ごまんと「浮かんでは消えた」作家を通ってきたことを
表してるのかなと思う。
そんなことを含めて、この映画には
「書くことの厳しさ」と、
「認められることの難しさ」が、よく表れていると感じました。
ただ、残念ながら
本人の映像はごくわずかで、
再現ドラマが大部分を占めている。
作家の死の部分が、あまり掘り下げられていなかったのも
ワシにとってはちょっと物足りなかった。
飯塚監督にお目にかかったのですが
監督は、佐藤氏が高校時代に北海道新聞の文芸賞を受賞したときに
ご自身も入選をしていて(!)
ずっと佐藤氏に憧れを持っていたのだそうです。
その思いを持ち続け、没後20年のいま、ドキュメンタリーに結実させるというのは
すごいことだな、と感じいりました。
来春、佐藤氏が89年に発表した
「そこのみにて光輝く」も映画化されるし
ますます注目です。
★10/5(土)から新宿 K's cinemaほか全国順次公開。
「書くことの重さ~作家 佐藤泰志」公式サイト