漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
http://kampo.no.coocan.jp/

夏の後は冬だった

2024-12-21 | 暦・季節ごとの養生法
「夏の後は冬だったね~」
「合いものを着る暇なかった」
「体が夏バージョンのままで寒さが堪える~」
という話が出るこの頃の薬局です。
地球温暖化というのか、四季が二季になるようですが、それでも気候に慣れていかなきゃね。
戸外に出て、運動すること大切です。
だけど寝る時はしっかり温かくしてね。

なかなかクリスマスの気分も出ないけれど、気づけば年末。
そして今日は冬至。
一年中で一番昼が短い日で、明日からは日が長くなる新スタートの日とも言えます。

年末年始の予定
12/31は午後5時閉店
1/1~1/3は休業します

セイヨウヒイラギと違って、ヒイラギの花は冬に咲く。

これは何でしょうか?そうロウバイです。
今年は葉が青々茂って、この写真で検索してもロウバイは出てきませんよ(笑)
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胃弱なのに食欲が出て口内炎、その対策は?

2024-12-16 | 胃腸
口内炎というと、甘いものや脂っこいものの食べ過ぎで「胃熱」が生じているタイプが多く、対策はこれを冷ます漢方薬を用いて大概よくなるのですが、口内炎もいくつかのタイプがあります。
さて、
もともと胃弱な女性の口内炎の話。
珍しく食が進んだせいか口内炎がなかなかひかないという。赤みも少なく痛みもひどくなく水膨れみたいな口内炎で「ちょっと微熱もあるかも」というので、気虚かな、お手持ちの補中益気湯を飲んでもらったがあまり変わらず、サンプルに差し上げていた晶三仙2包を飲んでみたらあっという間に口内炎が消え体も軽くなったそうです。

人によって「食べ過ぎ」の基準は異なるのです。
胃弱な人は少しでも食べ過ぎると胃に無理が生じ食滞を起こしがちです。
彼女の口内炎は、食滞を晶三仙で取り去ることで問題が解消され治ったようです。


過食気味の人も、ふだんから晶三仙などの消導薬で掃除をしておくと、痛い口内炎を予防できることでしょう。

皮膚や粘膜に何か噴き出すものがある時は、「体内に溜まり物がないか」突き止めてこれを掃除するとわりにスッキリ治るものです。
なんでもチョコラBB、でもありませんね。


オオジュリンやミコアイアもやってきた西印旛沼です

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現代の不妊治療について婦人科医の講義を受ける

2024-12-10 | 子宝・妊娠体質つくり
自然妊娠率は低下していて、いまや不妊治療を受けたことのある夫婦は約23%、不妊治療で生まれた子供は7万人近くに達する(11.6人に一人2021年)
(2024年は出生数は68.5万人の予定)

不妊治療を受ける女性側の負担は相変わらず大きい。公的補助は増えたといっても、夫婦の治療に対する気持ちの温度差、仕事などによるすれ違い、職場で休暇をとる難しさ、キャリアが失われる恐れ、治療に専念できない焦り、精神的プレッシャーは限りない。

わが薬局で妊活漢方対策をしている中でも、気持ちを穏やかにする対策だけで、うまく妊娠される人もいるほど、現代の生活事情は女性にとって妊娠には適さないのだろう。

「卵子の老化」が騒がれて久しいが、依然としてそのことに変わりはなく、いくら治療技術が進んだとはいえ、親の精子と卵子が良質であることは必須。保険適応年齢も42歳だし、実際それ以上の年齢だとなかなか妊娠には至らない。

あまり話題にされないが、実は男性の精子の質、量ともに低下は激しく、それも自然妊娠が難しくなっている一因でもある。

若いうちから、戸外での適度の運動、十分な睡眠、ストレス発散などいつもの生活養生を欠かさず、漢方も利用して健康な体をキープする努力が必要だろう。

やっと冬鳥のツグミが近所の雑木林に落ちついてくれた

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咳がなかなか収まらない主な原因は気逆ですが

2024-12-04 | 肺、咳、喘息
このごろ咳のご相談が多いなあと思ったら、入口に小さいながら咳のポスターを張っていたのでした。
それにしてもご相談者は深刻で、ずっと咳が治らず悩んでいる人ばかり。
咳止めを飲んでも吸入薬を使ってもなお、収まらないのです。
気管が過敏になってアレルギー状態になっていると言われたりするのですが。

なぜ咳がなかなか収まらないのか中医学的に考察してみましょう。
咳は、体の問題があっておこしている信号なのです。

・気の流れが逆流している(気逆)
鼻から空気を吸うとそれはすーっと下に降りていくべきです。しかし胸のあたりで「気が停滞」していると、スムーズに降りていかず痞えて、こみ上げて咳払い、呼吸が浅くなる、激しく咳き込むという症状が出ます。
緊張やストレスから解放されず体がこわばっている人に多いです。

・潤いが不足している(陰虚)
咳が長引いて粘膜が弱ってしまったり、加齢により潤い不足の体質だったり、咳止めや風邪薬の飲み過ぎで分泌液を抑え込んだりしていると、粘膜がカサカサになり、痰が濃縮して絡みやすくイガイガしがちです。

・疲労が溜まっている(気虚)
咳をすることはとても疲れます。これが長引くとすっかり疲労が蓄積してしまいます。もともと疲労蓄積が原因でカゼをしっかり治せず、体の外側であるのどや気管が弱ったままで外気に触れるだけで咳き込むということもあります。

というわけで、咳は「止める」でなくても、これらの問題を上手に解消すればおのずと収まります。
今のところ、相談者の方々は、数日ごとの漢方対策で匙加減して、生活養生も行い、徐々に収まり顔色もよく元気になられています。

早く咳から解放されるよう、よくご相談になりご自分の体質の偏りを改善してください。

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多発性子宮筋腫の漢方養生

2024-11-27 | 婦人科・嚢腫・筋腫・更年期

多発性子宮筋腫とは、筋腫の数が多く、手術で切除してもまた次々と筋腫が再発してしまう状態です。多発性の原因ははっきりしませんが、生理を運営するあらゆるホルモンが刺激となって筋腫が増大するらしいのです。そのため不妊治療などでホルモン剤を使うとますます筋腫が増える可能性もあります。また切除を繰り返していると子宮筋層が減るので子宮の形を維持するのが大変になってきます。

何とか漢方養生で良い状態を維持したいものです。

中医学では、活血化瘀・去痰消堅・軟堅散結です。 つまり末梢血流を改善し、塊を和らげて散らす対策を取ります。漢方薬にもホルモン様作用を持つものがありますから、それらの使用を控えることがひとつのコツでもあります。

漢方相談をされるとき、漢方対策の選択に大切な情報となるので、筋腫やポリープなどの実態をお話くださるとともに、婦人科の検査も定期的に受けてください。

ヤクシソウ 薬効はないそう。


クコの花

キヅタの花

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エンド オブ ライフ 佐々涼子著:人の死期を受け入れる社会を

2024-11-25 | 
看取りをいくつも経験してきた誰からも一目置かれる訪問介護士でさえ、自分の余命宣告に、受け入れられずもがいていた。

この本は、すい臓がんを患った訪問介護士森山文則さんを、佐々涼子さんが取材したノンフィクションです。


家で最期を過ごしたいという気持ちが今までわかっていなかった。介護する家族は大変だもの。
だけど、病院は病気を対策するところで死にゆくところではない。

今後私たちは、「死」を日常から隠さず、毎日の生活の中が死に場所でもあるようにすることだろう。どうか訪問介護やホスピスがもっともっと充実しますように。

生きとし生けるものはみな死ぬ。なのにその当たり前のことを受け入れるのに苦労する。
読むほどに、現在のシステムではどうすればいいのかわからない。行き詰ってしまう終末の過ごし方。みっともなくあがくのは仕方がなさそう。周りに迷惑をかけ嫌がられるのも避けられなさそう。
ただ、いよいよ死期を知った時、人は何かを悟り何かを後世に残すものらしい。

2024年9月に亡くなられたノンフィクション作家の佐々涼子さん。この小説を書かれたときは、まだ脳腫瘍が発覚していなかった。そして「夜明けを待つ」を出版された2023年はすでに病と闘っていた。

エンドオブライフ 2020年2月発行
佐々涼子 1968年神奈川県生まれ

風邪(ふうじゃ)は上から湿邪は下から:カゼの漢方薬

2024-11-19 | 
目まぐるしく天候が変る今年の冬。生暖かい雨天曇天が続いていましたが、冷たい空っ風も吹くようになりました。
カゼを引く人も多くなり、ご来局の方のご相談内容もこの頃日替わりです。
手持ちの漢方薬のあるご常連さんからは「今日はどれを使ったら、いい?」というご質問を受けます。

カゼを「風邪」と書きますが、中医学では「ふうじゃ」つまり外気の邪気を受けることを言います。

「風邪」は体の上半身から侵入するのですが、これに「湿」が絡むと胃腸や下半身に症状が現れます。

現れている症状がどんな邪気によるものかを、判断してください。

〇風寒邪(冷たい風にあたった)
・頂調顆粒(川キュウ茶調散):寒気、頭痛、鼻づまり
・葛根湯:寒気、頭痛、首筋の凝り
・小青竜湯:寒気、水っぱなやくしゃみ

〇風湿邪(湿気にさらされた、雨天曇天)
・勝湿顆粒(カッ香正気散 ):ムカムカ、モヤモヤ、軟便下痢、体が重だるい

これくらいは覚えておき、侵入した邪気を追い出すのです。
症状が出たら、すかさずその漢方薬を服用すると、あっという間に治ります。
症状もないのに「カゼ引きそうだから総合感冒薬を飲んでおく」なんてことは体に負担になるだけなのでやめてください。
何年振りかで見つけた美しいイシミカワ


散歩道で見つけた赤い実。名前不明、わかる方お教えください。
拡大してみました
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食用蟻:膝の痛み対策で飲んでいたら慢性蕁麻疹も治ってしまった

2024-11-12 | アレルギー・花粉症・鼻炎・咳
先日、60代の女性で「膝が痛んでシップを貼っても効かないし、体力も落ちてきた気がする、年齢かしら?」というご相談で、「食用蟻」のサプリをおすすめしたところ、1か月もしないうちに、立ったり座ったりに苦労していた膝の痛みが軽くなり、さらに、
「コロナの予防接種を受けた後から、蕁麻疹がポツポツでるようになり一向に治らず、痒いので抗アレルギー薬を毎日飲んでいたのだけど、蟻を飲み始めてから、痒くなくなり、気が付いたら蕁麻疹がでなくなっていた」 という。

(曇天の裏寒い日曜日、冬鳥のツグミに出会った。シベリアなど北国から海を越えてやってくる逞しい鳥)

今風に言えば昆虫食だが、食用蟻は古来から食品そして生薬として利用されていて、その成分は、豊富なアミノ酸、微量ミネラルに至るまでの多種類のミネラルを含んでいる。

昔から筋骨の弱りや痛み、インポテンツに用いられ、リウマチへの使用例も多い。リウマチは自己免疫疾患の一つなので、アレルギーなど免疫関連にもよいだろうとの予測はたつ。咳、アトピー、花粉症、糖尿病などなど、実は使用例はたくさんある。

考えるに、
現代の食生活ではちゃんと食べているようでも、微量ミネラルや必須脂肪酸などが不足してしまうのかもしれない。 それが免疫調整力などのいわゆる「体力」が気づかぬうちに落ちてしまうのかも。
栄養補給の一手段として、昆虫食が体を救ってくれるかもしれない。

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胃のつかえ対策で、漢方飲んだらその日下痢したけど・・・

2024-11-07 | 胃腸
胃がつかえて食欲がなく、しばしばムカムカして吐いてしまったりするという症状が半年以上続いているという女性のこと

漢方薬をおすすめし、しばらくして体調を訪ねると、
「あの漢方を1服飲んだら、その日何度か下痢をしてしまって、飲むのを止めてしまった。合わなかったみたい」としょんぼり。

その時の様子を伺うと、
お腹が痛むわけでもなく「何度も催してトイレに通った」「そのあとはスッキリした」

胃のつかえや吐き気はどうかと尋ねると、
忘れていたことを思い出したかのように「あ、胃はもう治ったから大丈夫」

つまり、
「半年以上も胃の不快で悩んでいたのに、漢方飲んで1日下痢をしたらスッキリして症状は解消した」

冷静に考えてみてください。
それは漢方が合わなかったのではなく、漢方によって「つかえ」ていたものが下から排出されたと考えるのが自然です。下痢が苦しくもなくスッキリしたなら、体は下痢で出すことで回復したと考えるべきでしょう。

食べたものは、消化器を下へと移動して最終物は便として出るのが正しい方向で、つかえたりゲップがでたり吐いたりするのは、その流れが止まって逆流しているからです。

なので、「スッキリ」と下痢をすることも効いている形なのです。

干潟の遊歩道に咲いていたこれはナワシログミかな?濃厚な香りがしていた。

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土と脂:現代の食べ物は土との関係を絶たれ栄養不足になっている

2024-11-01 | 
あなたが食べているそれはいったいどのように育ったものか?
現代の野菜や家畜は、収量を追求するあまり、土との関係を絶たれ、ひ弱になり微量ミネラル微量栄養素が極端に減っている。それを食べる人間も慢性炎症を起こしやすく病原菌への抵抗力も落ちている
慢性疾患が増える現代、治療薬よりも食べ物を見直す必要がある

「身土不二」「一物全体・丸ごとを食す」
読むほどに彼らの追求は、中医学の考えに近づいていくのがわかりました。

そして農地は掘り返さず、いつも植物が生えている状態のほうが土壌菌が増えて、生き生きした土になるのだそうです。

以下覚書:
「植物性と動物性のホールフードという雑食性には力がある」
※ホールドフード:加工しないまるごとを食べる
「人はその食べたものなのだ」
「健康で生命に満ちた土壌は、健康で栄養豊富な作物、牧草、家畜を作り、それらはひいては人の健康を支える。この観点で見ると、人間の健康は、あるいはその欠如は、我々が土地をどう扱うかの反映なのだ」

化学肥料、除草剤は穀物のミネラル取り込みに影響し、耕起も菌根菌に影響を及ぼす
作物を過保護にすると 共生菌類との関連がうすくなる
菌糸には無機質を運ぶ能力がある リン、銅、亜鉛、鉄 ファイトケミカルも増やす

ネオニコチノイド(昆虫の神経毒、殺虫剤):植物に残留する
農薬の残留性はニワトリや牛にも認められ、それらのもつ微生物叢を犯していて病原性への罹患性を高めるだろうと言われている

人間が農薬に頼るようになって以来、昆虫、鳥、土壌生物に至るまで殺してしまい「昆虫の大量虐殺が始まってから世界の昆虫の半分が死んだと推定され草原性の鳥類大幅に減少した。両生類の減少も1950年代から急速に始まった。」
土壌生物は激しく減少する

オメガ3脂肪酸は葉緑素に多く存在して光合成に欠かせない。
したがって生の草を食べる牛の乳はオメガ3が多くなり3と6の割合は1:1だが、合成飼料で育つ牛はオメガ6が多くなる。

風味のフイードバック:子宮の中から始まり、生涯を通じて築き上げられる。
母親が食べるものが子どもの食物の嗜好とそれに関係する行動に強く影響する

幼少期から児童期にかけて、有益なあるいは害のない細菌、菌類、その他の微生物の暴露が多いほど後の人生で免疫反応が寛容になる

口の中の甘みと苦みの受容体は、腸内の神経細胞、内分泌細胞、免疫細胞にも散在している 
ヒトの皮膚は嗅覚を持っている
苦味受容体は気道に多く存在する
気道組織にある苦味受容体は病原菌を排除する反応を起こす

苦味物質と免疫系の関連性
スーパーテイスター(味覚が敏感な人)の方がコロナに感染しにくく、感染しても軽度であった
長寿ビタミン: エルゴチオネイン ピロロキノリンキノン、キューイン

ーーーーーー
膨大な文献と見聞によって書かれたもので、もうお腹いっぱいになる。カタカナや数字が並ぶ文章は横書きで読みたかった。農酪業については素人なので入ってこないところもあったが、土の中の良い環境が食べ物を作り人を育てそしてまた土に帰るという正しい循環を狂わす現代農法は人の命さえ脅かすということは十分わかった。
さて、今夜は何を食べようか。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

土と脂 2024年9月発行 What Your Food Ate あなたが食べたものが食べたもの 微生物が回すフードシステム
デイビッドモンゴメリー アンビクレー 著
片岡夏実 訳