アーバンライフの愉しみ

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そろそろ覚悟しなければ~五木寛之氏著「人間の覚悟」

2015年01月21日 | この一冊
大寒初日の昨日。
当地(北海道ニセコ)は、終日雪が降り続き雪かきに追われた。

ちょっと古い本だが、気になって読み直し、改めて生きることの意味を噛みしめた。

「蒼ざめた馬をみよ」で直木賞を受賞後、「青春の門」、「風に吹かれて」、「戒厳令の夜」、「朱鷺の墓」、「大河の一滴」など、数々の話題作をおくり出してきた人気作家が説く人生訓。



少子高齢化と右肩下がりの経済等々、日本は今、明らかに「下山の時代」を迎えている。その中で、人生如何に生きるべきか。大変な難問であるが、同氏は、「いよいよ覚悟を決めるときだ」と説く。

1945年、中学1年生の五木少年は、終戦直後の平城に居た。現在の北朝鮮の首都ピョンヤンである。戦争に敗れた後、旧植民地支配者が受ける苛烈な運命など知る由もなく、国が発する「治安は維持される、動くな」との指示を真に受けて、静かに帰国の順番を待っていた。

しかし、この時、高級軍人と官僚たちはその家族とともに、すでに南下を完了していた。そして帰国までの地獄の逃避行が始まる。その経験から「国は決して国民を守らない」ことを知る。

今、ブラック企業が横行し非正規雇用者が突然解雇されたり、年金や生活保護費が削減されたりと、会社や国に依存して生きていることが無意味になりつつある。つまり、自分の生きるすべを自ら見出すという「覚悟」をしなければならない。

そして今、大切なことは、いかに生きるべきかではなく、「生きることそれ自体」なのだという。それほど現代は、特に年寄りにとって生きるのが難しい時代になっているのだ。
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