小生にとっては初めての柴崎さんの「春の庭」を読んだ。
第151回(平成26年度上半期)芥川賞受賞作。

物語~今、太郎が住むアパートの裏手にその家はあった。窓の一部にステンドグラスを取り入れた洒落た感じの青い家だ。ある日、別の部屋に住む若い女性が、アパート越しにその家を覗いているのを目撃した太郎は・・・。
この1年ほどの間に、芥川賞受賞作を何篇か読んだが、その内では、まぁ話の筋が比較的良くわかる作品であった。
とは言え、何故この作品が受賞作なのか、その良し悪しということになるとまったくお手上げだ。
文章そのものは洗練されており、個々の事象に対する描写もすぐれていると思うのだが、要は、それだけのことで、この作品が読者を深くうなずかせたり、感動させたりするものではない。
蛇足:山田詠美さんの選評を「芥川賞のすべて」からお借りして参考に供しよう。
「場面の最後のパラグラフの一、二行が次に続く行間に実にうまく機能している。焦点である〈春の庭〉に重なるいくつもの人生の瞬間を、その行間が印象的なフレームのように正確に縁取っているのである。目の良い書き手には、本来見えないものも映し出せる。いえ、映ってしまうので、文字として現像してしまうのである。柴崎さんは、そういう稀な小説書きに思える。」
第151回(平成26年度上半期)芥川賞受賞作。

物語~今、太郎が住むアパートの裏手にその家はあった。窓の一部にステンドグラスを取り入れた洒落た感じの青い家だ。ある日、別の部屋に住む若い女性が、アパート越しにその家を覗いているのを目撃した太郎は・・・。
この1年ほどの間に、芥川賞受賞作を何篇か読んだが、その内では、まぁ話の筋が比較的良くわかる作品であった。
とは言え、何故この作品が受賞作なのか、その良し悪しということになるとまったくお手上げだ。
文章そのものは洗練されており、個々の事象に対する描写もすぐれていると思うのだが、要は、それだけのことで、この作品が読者を深くうなずかせたり、感動させたりするものではない。
蛇足:山田詠美さんの選評を「芥川賞のすべて」からお借りして参考に供しよう。
「場面の最後のパラグラフの一、二行が次に続く行間に実にうまく機能している。焦点である〈春の庭〉に重なるいくつもの人生の瞬間を、その行間が印象的なフレームのように正確に縁取っているのである。目の良い書き手には、本来見えないものも映し出せる。いえ、映ってしまうので、文字として現像してしまうのである。柴崎さんは、そういう稀な小説書きに思える。」