アーバンライフの愉しみ

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どこまで続く泥濘ぞ~朝日新聞特別報道部著「プロメテウスの罠9」

2015年07月01日 | 読書三昧
原発事故からまる4年。
いまだ癒されない被災者の深い心の傷。

朝日新聞連載の「罠」シリーズも、事故4年を経て第9巻となった。



本巻には、14年6月~11月に掲載された第49章から第56章までの

 ・「県境の先で」~道1本へだてた県境によって、放射線量測定や賠償金に大きな差
 ・「4年目の夏」~福島から2千キロも離れた宮古島に避難
 ・「函館の訴え」~もし、大間原発で事故が起これば、函館は福島の二の舞いになる
 ・「二人の首相」~「原発ゼロ」を掲げ、細川と小泉の元首相がタッグを組んだ
 ・「抵抗32年の島」~島の生活を守るためにがんばるんじゃけ、なあんも怖いことはない
 ・「妻よ」~「避難先のアパートには戻りたくない。私はここに残る」



判決の日、愛妻の遺影とともに裁判所へ入る原告の渡辺さん

 ・「ふるさと訴訟」~東電の賠償姿勢に納得できない人たちの集団訴訟を!
 ・「検証・もんじゅ」~「もんじゅ」で1万件もの点検漏れが発覚

上記8編が収められている。

中でも、マスコミで大きく報じられた14年2月の東京都知事選に「脱原発」を掲げて闘った細川・小泉元首相らの活動や、事故で(自死から)妻を奪われた福島県川俣町の渡辺幹夫さんの裁判などは記憶に新しい。

このドキュメンタリー特集は、今も同紙に連載されているが、原発事故がもたらした被災者の苦しみは癒されることがない。どこまで続く泥濘ぞの思いだ。
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