LPレコードの愉しみのひとつにジャケットのデザインがある。
というご紹介は、過去何度か記事にしている。
今回は、これ。
植物の芽が雲間に顔を出し、それがグングン大きくなる様を描いた斬新なデザインは、曲想にも合って、当時(1970年頃)大きな話題となった。
仏人のピエール・ブーレーズが、米国のクリーヴランド管弦楽団を指揮して1969年に録音したストラヴィンスキーの「春の祭典」なのだが、その演奏・録音の良さもあって大ヒットとなった。
今でも、仲間内でこの絵を見せれば、指揮者や曲名を言い当てられるほど有名なレコードである。
従来、クラシックレコードのジャケと言えば、著名な指揮者の顔写真や、曲にちなんだ風景などが中心だったことを思えば、随分思い切ったデザインだったことがわかる。
同じブーレーズがニューヨークフィルを指揮して出した「ペトルーシュカ」は、エンボス文字を使ったこんなデザインであった。
昨今、ネットからダウンロードして購入するアルバムには、こうした愉しみはもうない。寂しいかぎりである。