直木賞作家、まかてさんの最新刊。
2014~15年「小説推理」に掲載。273頁の長編。
物語~幕末、江戸城の明け渡しが決まった。官軍の来襲を恐れ、我先にと脱出を試みる大奥にあって、一人、二人と居残る女たちがいた。果たして、彼女らは何のために残ろうとしたのか・・・。
映画やドラマで描かれる「大奥」のイメージとは異なり、そこに住み、生活する女たちの日常や、天璋院をはじめ徳川家上層部の在り様など、庶民目線の物語は新鮮であった。
流行作家の常である、いわゆる「書き飛ばし」がなく、資料を基にじっくり取り組み、構築した物語には読む楽しさがあった。