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第23回公判傍聴記~北海道泊原発廃炉訴訟

2017年12月20日 | ドラミング

昨日午後、札幌地裁第8法廷で第23回口頭弁論が行われた。

厳寒の中、傍聴希望者が予定席数(60席)を上回わり抽選となったが、幸い、小生は入廷できた。

意見陳述者は、「廃炉の会」世話人で札幌市在住の千田素子さん。
一市民としての立場から、福一被災者に対する自治体や政府からの理不尽な扱いは納得できないと泊原発の廃炉を強く求めた。(別項ご参照)

原告弁護団からの陳述は、
①先の広島高裁における伊方原発運転差し止め判決に見るように、原発訴訟の原則的立場についての解明を行った。

また、被告(北電)が1・2号機直下の活断層の有無について検証できないことから(規制委員会の)同意を得られていない点も問題だと指摘した。

②一方、裁判所から求められていた原子炉破綻に至る要因とそのシーケンスについての技術的説明を行った。

次回公判は、3月20日の予定。

前回公判の様子を伝える「HAIROニュース」をご紹介します。

千田さん陳述全文。

原告の千田素子です。私は平凡な一市民です。権力も権威も名声も、また取り立てて語るほどのキャリアもない、極々小さき存在です。しかしだからこそ、多くの声無き声の代弁者たりうるのではないかと思っています。そのような立場から意見を申し述べます。

さて、私は、この数ヶ月に私が深く考えさせられてしまったニュースを二つ、ここで紹介したいと思います。

一つは、東京電力福島第一原発事故により今も避難を続ける女性が、国連人権理事会のプレセッションでスピーチをしたというニュースです。彼女は、原発事故以来、過酷な状況に置かれている被害者の、とりわけ悩み苦しみそして今では疲弊している母親たちの、怒りと悲しみの声を伝えるために、スイスのジュネーブに赴き各国政府の代表者の前で被害者の現状を訴えました。

実は、日本政府は2013年すでに、人権理事会から「福島の住民の健康の権利を放射能から守るために必要な措置を講じるjよう勧告を受けていま寸㌔しかし、政府がそれに応じる気配はなく、被害者の人権侵害は一向に改善されていません。たとえば、十分な健康調査が実施されず、調査・診断の結果も知らされない現状。また、「安全性」をアピールするために福島県の農産物を県内の学校給食に用い、それを子供たちに食べさせている現状。更には、年間20ミリシーベルトの地への帰還を強いられている現状があるのです。

何故か、救済を求め続ける被害者の声が日本政府には届きません。自国の政治がとても遠く、世界の良識に問題解決を委ねるしか道がないところまで被害者は追い詰められている、と私は思います。

もう一つは、山形県米沢市の雇用促進住宅に住んでいる8世帯の自主避難者たちが国から訴えられたニュースです。福島県による住宅無償提供が今年3月末で打ち切られたため、4月から家賃を支払えずに、しかし帰る場所もなく住み続けた人たちに対し、住宅の明け渡しと「4月からの家賃の支払い」を求めて、高齢・障害・求職者雇用支援機構が山形地裁に提訴したというのです。他の避難者は家賃を払っているので公平・公正性の観、煎から容認できないと、訴状には書かれているそうです。

このニュースに接したとき、私は言葉を失いました。加害者である国が、その被害者である避難者たちを被告として訴えたのです。あまりにも理不尽です。国策で原発を作り、安全神話と経済優先で推進し、事故を起こして被害を発生させた国の行為、加えて、2012年に制定された「子ども・被災者生活支援法」の適切な運用をせず、被害者に寄り添った生活支援の施策を怠った国の行為が、避難者の現在の状況を作り出していることを、国は、行政は、どのように捉えるのでしょうか。

提訴によって、自主避難している小さき者たちのささやかな暮らしまで奪い取ろうとする。これが行政権の公正な行使だとは、私には思えません。政府の強引な帰還政策がフクシマの被害者を更なる苦況に陥れていることが、二つのニュースからもよく分かります。

2011年3月11日、原子力災害対策特別措置法に基づいて発令された原子力緊急事態宣書は、現在も発令中です。郎ち、今なお大量の放射性物質が漏れ続け、溶け落ちた炉心は掴み出せず、収束の目処さえ立たない状況下では、政府は原子力緊急事態宣言を解除できるはずがないのです。否、敢えて解除しないのかおしれません。解除すれば、平常時の20倍の年間20ミリシーベルトまで住民を被曝させるような場所に、避難者を帰還させることが出来なくなりますから。

政府は「20ミリシーベルト以下なら安全・安心」という根拠のないキャンペーンを張り、放射能安全神話を人々に新たに刷込むことで、避難者を半強制的に帰還させています。それが何より「復興」の証となるからです。その上で、放射能汚染や被曝のことを語れない空気を作り、原発事故を忘れ、何事もなかったようにフツーに暮らすことを政府は推奨しているのです。帰還政策は、為政者が人々の命には全く頓着しないことを如実に示しています。

フクシマを経験し、私は、放射能がもたらす惨禍と悪政がもたらす悲劇を、記憶に止めたいと思います。またそれらが、人々から”平穏な生活”を奪ってしまうことを肝に銘じます。そして、私は宣言します。「ノー・モア・フクシマ」と。

原発を存続させるべきでないことは、多くの識者が様々な場面で様々な視点から言及しています。また、泊原発の危険性については、この法廷でこれまで、弁護団が十分に指摘して下さいましたし、たくさんの方がこの場に立って言葉を尽くされました。

結論は明白です。地震大国日本で原発を作ってしまった過ちを直視するならば、選択肢は廃炉しかありません。私たち大人には、廃炉によって未来を創設していく義務が、課せられています。一刻も早い泊原発の廃炉を求めます。

どうか、司法の権威を、行政に対して、政府に対して、示してください。
小さきものの声に耳を傾けてくださいましたことに、感謝申し上げます。

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