「サラダ記念日」に牧水の恋という伏線があった。
万智さんの近作は、我が国の代表的な歌人であった若山牧水の恋にフォーカスした評伝文学。「文學界」2017年5月~18年5月号連載290頁。
・白鳥は哀しからずや海の青そらのあをにも染まずただよふ
・幾山河越え去り行かば寂しさの果てなむ国ぞ今日も旅行く
誰もが知る牧水の高名な歌だが、これがどのような背景のもとに詠まれたのか?
結局、文学者は、自らの命と引き換えに文学作品という珠玉を(世に)送り続けるものなのだということを再認識させる内容となっている。
そこに万智さんの作品の背景もオーバーラップしていて興味深い。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★)